2020 Fiscal Year Research-status Report
Research on signal transduction inhibitors and novel molecules with synthetic lethal effects in melanoma
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20K07377
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
前沢 千早 岩手医科大学, 医歯薬総合研究所, 教授 (10326647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安平 進士 岩手医科大学, 医歯薬総合研究所, 講師 (90311729)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | DUSP4 / 悪性黒色腫 / BRAF / MAPK |
Outline of Annual Research Achievements |
進行期悪性黒色腫の治療成績改善には、ドライバー経路に作用するBRAF/MEK阻害薬の効果延長が命題となっている。本研究では、悪性黒色腫のドライバー経路と補完関係にあり、合成致死をもたらす可能性を持つパートナー分子を特定し、シグナル伝達阻害薬の効果増強/耐性の克服法を開発したい。本研究では、①DUSP4阻害による、JNK活性化ならびにMITF→BCL2 familyの発現抑制によるアポトーシス誘導経路、および②生存促進性のautophagy阻害の経路に着目し、これらの分子動態ならびに阻害薬がBRAF/MEK阻害薬と合成致死効果を持つか検証し、新たな悪性黒色腫治療のプラットフォームの作成に寄与する事を目的として研究を実施した。 当該年度はDUSP4のinducible cloneの解析を中心に実施した。DUSP4の発現抑制は、悪性黒色腫の増殖能に大きな影響を及ぼした。さらに、この経路に係る分子異常の連鎖は、MITF非依存性であったが、代用経路として別のDUSP familyであるDUSP6が大きな役割を果たしていることを明らかにした。DUSP4はDUSP6の発現を抑制し、結果として悪性黒色職種の細胞増殖能獲得に作用する事が明らかとなった。一方、同じ遺伝子変異を有する、大腸癌培養細胞株では、同様のDUSP6発現亢進は確認されず、DUS4/DUSP6の直列連続抑制系の存在は、悪性黒色腫に特異的であり、想定していたMITFによる転写制御系による増殖抑制経路ではなかった。DUSP間のクロストークの報告はこれまでになく、次年度以降新規分子経路の解明をすすめる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画で想定した、DUSPsの悪性黒色腫の増殖抑制機構は、MITF非依存性であった。一方でその経路が、DUSP4/6間のクロストークによるものである事が明らかになった事で、本研究の最終目的である悪性黒色腫治療のプラットフォームの作成に関しては、DUSP6が新規分子と標的となる可能性が示された。DUSP6は阻害薬が存在するものの、その発現抑制は腫瘍増殖には正に働くため、これまで抗がん薬開発の標的とはなっていなかった。当該年度の研究成果からDUSP4の発現阻害によるDUSP6の過剰発現が悪性黒色腫特異的に生じるものであることが明らかとなり、両者のクロストークを断ち切ることで新たな悪性黒色腫治療のプラットフォームが創出できる研究展開が示されたことは、本研究の価値を一層向上させる。
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Strategy for Future Research Activity |
DUSP4/6間のクロストークは、DUSP4の酵素活性によりDUSP6の翻訳後修飾が制御されている可能性を考えている。次年度は、その分子機構に関して詳細を明らかにする。
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Causes of Carryover |
2021の研究成果において標的分子試経路が修正が生じ、予定と異なる試薬・抗体が必要となったため。
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