2022 Fiscal Year Research-status Report
中皮間葉転換を起点とする播種微小環境形成メカニズムの臓器横断的解明
Project/Area Number |
20K07380
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
菊地 良直 帝京大学, 医学部, 准教授 (90512260)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 中皮間葉転換 / がん微小環境 / がん関連線維芽細胞 / 播種 / 大腸癌 / 胃癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、播種巣の免疫抑制微小環境に焦点を当てて解析を進めた。大腸癌と胃癌のシングルセルシークエンス(SCS) 公開データを用いた解析では、いずれにもMMT誘導細胞を確認したが、播種巣の病理組織標本を用いた免疫組織化学的検討では大腸癌の67.6%、胃癌の20.5% にMMT 誘導を認めた。播種の部位別評価においても大腸癌で頻度が高い傾向がみられた。胃癌のSCS公開データには播種巣のデータが含まれており、このデータより播種巣の線維芽細胞を抽出した。播種巣の線維芽細胞にはcalretinin陽性細胞が多く、MMTにより動員されたCAFと推測された。播種巣のcalretinin陽性CAFと陰性CAFの遺伝子発現の違いを検討すると、calretinin陽性CAFはapCAFマーカーであるSLPI, CD74, HLA-DRAの発現が高く、myofibrobastの形質を示すmyCAFのマーカーであるPDGFRB, COL12A1,TAGLNなどの発現は低かった。 続いて大腸癌播種巣の病理組織標本を用いて、MMT誘導播種巣でapCAFが多く存在し、これによって腫瘍免疫抑制的に作用する制御性T細胞(Treg)が誘導されているかを検討した。αSMAとapCAFのマーカーであるCD74を用いて免疫二重染色を行ったところ、MMTスコアが高い播種巣ほどαSMA/CD74が二重陽性となるapCAFが多く分布する傾向を認めた。これらの播種巣では、TregのマーカーであるFoxP3とCD4が二重陽性となるT細胞が分布していることを確認し、FoxP3陽性細胞を計測すると、MMTスコアが高いほどTregが多く分布していることが明らかとなった。また、apCAFの数とTregの数には正の相関を認めた。 以上より播種巣のMMTにより免疫抑制微小環境が形成されている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
組織化学的染色の条件検討において難渋した部分があり時間を要したが、検討の結果安定した染色結果が得られるようになり、解析は良好に進んだ。一通りデータが出揃ったため、今後はより多数症例を染色した解析を行い、論文投稿にむけて準備を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
ある程度のデータが出揃ったため、論文投稿に向けて準備を進める。いくつかデータが足りない部分があるため、今後はより多数症例を染色した解析を行って補完し、論文にまとめて投稿する。リバイス等で指摘された項目に関しては、追加実験も行えるように準備する。
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Causes of Carryover |
組織化学的染色の条件検討に時間を要したため、実験がやや遅れている。そのため多数症例の検討のための研究費が次年度使用することとなった。本年度は多数症例を染色し検討する予定であり、繰り越した研究費を使用する。
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