2020 Fiscal Year Research-status Report
Microenviroment in classical Hodgkin lymphoma and Hodgkin-like ATLL
Project/Area Number |
20K07381
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
大島 孝一 久留米大学, 医学部, 教授 (50203766)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ホジキン様ATLL / 古典的ホジキンリンパ腫 / 周囲環境 / リンパ腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
HL(古典的ホジキンリンパ腫)は腫瘍細胞(ホジキン細胞)が病変リンパ節にごく少数しか存在しないが、その背景に多くの正常なリンパ球、組織球、好酸球に繊維化を伴う炎症性細胞などの浸潤を伴い、多彩な組織像を呈する。HLの本体であるホジキン細胞の起源はB細胞のクローナルな増殖であるが、腫瘍組織全体の1%未満と少なく、多くはホジキン細胞から産生されるサイトカインやケモカインによって浸潤してきた反応性炎症細胞が占める。一方、ホジキン様ATLLでは、ホジキン細胞の起源はB細胞のポリクロナールな増殖であることが分かっている。最近の研究では、IL10がFoxP3陽性の抑制性T細胞を活性化し、HTLV1のHBZを活性化することが分かってきている。また従来ホジキン細胞はIL10を発現し、周囲には抑制性T細胞が存在することが分かっている。微小環境の解明のため、濾胞性リンパ腫で、intrafollicular regionとextrafollicular regionをレーザーマイクロダイセクションで切り抜き、RNAを抽出し、Gene expression profilingを実施し、extrafollicular regionでIL3RA、CXCL12を含むサイトカイン関連遺伝子が高発現していることを見出した。これらの遺伝子は、FLのextrafollicular growth、また進展に関与している可能性があることを論文にした(Yoshida N, Miyoshi H, Arakawa F, Nakashima K, Kawamoto K, Seto M, Ohshima K. Hematol Oncol. 38(5):673-679, 2021)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
濾胞性リンパ腫での微小環境の解明のため、腫瘍免疫関連蛋白の発現に関する臨床病理学的検討を現在行っており、複数の腫瘍免疫関連蛋白、濾胞内増殖域とびまん性殖域での比較、初発例と再発例間での比較、予後の解析を、初発 174症例、(濾胞状増殖域: 174 area 、びまん性増殖域: 42 area)、再発例 50例 でPD-1, PD-L1, PD-L2, Tim-3, Galectin9, CTLA-4, CD86, CD80, LAG3, OX40, OX40L, GITR, GITRL, CD137, CD137L の15蛋白で免疫染色を行った。その結果、1) CD86, PD-L1, PD-1, Galectin9, OX40, CTLA4, Tim3, OX40L LAG3は腫瘍細胞や周囲間質組織のT細胞、マクロファージ、FDCの様々な細胞に発現が確認された。2) 各腫瘍免疫関連蛋白の発現とIgH-bcl2の融合、組織グレード、FLIPIに特徴的な関係性はみられなかった。3) これらの蛋白の発現は濾胞内とびまん性増殖域、初発と再発例の間で差異がみられた。特にmiTim3(mi:腫瘍細胞ではなく背景)は初発例に比較して再発症例で有意に多く間質細胞での発現がみられ(p=0.0491)、LAG3は初発例に比較して再発症例で多く発現がみられる傾向にあった(p=0.0648)。4) 予後に差があるものもあった。特にmiOX40L低発現群が予後良好であった。現在このことを論文化している。ホジキン様ATLLと古典的ホジキンリンパ腫に関しては、現在、症例の確認を行い、臨床病態を含め、データベースを作成中である。
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Strategy for Future Research Activity |
ホジキンリンパ腫は多数の炎症細胞を背景にHRS細胞が孤在性に認められることが特徴である。ホジキンリンパ腫は腫瘍免疫から逃避するための様々な特性を有している。ホジキンリンパ腫の一部でPD-L1のgene alterationによるPD-L1の高発現が報告されており、PD-L1/PD-1経路がT細胞からの免疫逃避に重要な役割を果たしている。抗PD-1抗体が再発・難治のホジキンリンパ腫の多くに効果を発揮することが臨床試験で証明されている。また、HLAの発現もホジキンリンパ腫の腫瘍免疫で重要である。ホジキンリンパ腫の一部でHLA class Iの発現低下が認められ、腫瘍免疫からの逃避に関与していると考えられる。治療が化学療法や放射線療法のみの場合はHLA class Iの発現低下が予後不良因子となり、CD8陽性細胞からの免疫逃避に重要であると考えられている。一方で、ホジキンリンパ腫の一部でHLA class IIの発現低下が報告されている。PD-1阻害薬の治療効果はHLA class IではなくHLA class IIの発現が予後を規定すると報告された。原理は不明であるが、CD4陽性T細胞と腫瘍細胞のinteractionが重要ではないかと推測されている。現在、ホジキンリンパ腫細胞株 (L428、L1236)の培養を現在行い、DLBCL細胞株 (Ly10)を比較対象として、健常人のPBMCの共培養を行う予定にしている。ホジキンリンパ腫細胞株とATLLT腫細胞株の共培養では、ロゼット形成が見られており、健常人のPBMCでの確認、その後、RNA解析を行い、その結果から、ホジキン様ATLLと古典的ホジキンリンパ腫の症例のパラフィン材料を使用し、TAMを作成し、免疫染色を行い、さらに、Codex(購入交渉中)を使用し多重染色を行う予定である。
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