2020 Fiscal Year Research-status Report
卵巣明細胞癌の抗癌剤耐性関連新規バイオマーカー:EBP50の同定とその機能解析
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20K07397
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
松本 俊英 北里大学, 医学部, 講師 (10623184)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 卵巣明細胞癌 / EBP50 / 抗癌剤耐性 / プロテオミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は卵巣明細胞癌におけるEBP50(Ezrin-radixin-moesin-binding phosphoprotein-50)発現検索と臨床病理学的因子との相関性を中心に解析した。 先行研究と同様、卵巣明細胞癌8症例を用いて原発巣と再発巣におけるEBP50発現比較を行った。その結果、再発巣でEBP50が有意に亢進しており、その発現は細胞質または核であった。さらに、69症例の原発性卵巣明細胞癌を用いたところ、細胞質/核発現を認める症例は38症例あり、臨床病理学的因子においてはFIGO stageが高く、全生存期間、無増悪生存期間ともに予後不良であった。 次に、卵巣明細胞癌細胞株(TOV-21G:EBP50細胞質発現)を用いて、shRNAによるEBP50ノックダウン系を作製した。その細胞を用いてシスプラチン(CDDP)処理を行ったところ、mockと比して細胞生存率の低下を認めた。さらにHE染色によるアポトーシス小体数を算出したところ、有意に亢進していた。また、PI染色によるFlow cytometryにより、subG1-populationの増加を認めた。その際のタンパク質発現をwestern blotにより解析した結果、抗アポトーシス因子であるXIAPやBcl-2の発現低下とともに、アポトーシスの指標であるbaxやcleaved caspase 3の発現が亢進していた。 異常の結果より、EBP50は卵巣明細胞癌において再発・予後と相関しており、直接的に抗癌剤感受性に関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床検体を用いたEBP50発現の検討が順調に完了しており、予定通りEBP50ノックダウン系細胞の作製まで到達できた。
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Strategy for Future Research Activity |
EBP50ノックダウン系を用いたwound healing assayやmigration assayによる細胞運動能、WST assayによる細胞増殖とそれら関連因子のwestern blot解析を行う。 さらに、EBP50の抗癌剤耐性能獲得に関連する因子を、免疫沈降法とショットガンプロテオミクス法を組み合わせた網羅的探索法により同定する。
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Causes of Carryover |
臨床検体を用いた検討より、卵巣明細胞癌におけるEBP50の機能解析に着手することができた。次年度は、EBP50ノックダウン系の詳細な検討を中心に実施する予定である。
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