2022 Fiscal Year Annual Research Report
タイト結合のジスルフィド結合を介した機能調節:酸化還元シグナルの入り口として
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20K07402
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田中 敏 北海道大学, 医学研究院, 特任准教授 (30374250)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | タイト結合 / occludin / ジスルフィド結合 / redox / thioredoxin |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はoccludinノックアウト細胞株を作成した上で、occludinの膜貫通領域にあるCys76、Cys82、Cys148について、occludin-FLAGおよびGFP-occludinの野生型やCys変異型をoccludinノックアウト細胞に発現させ、内在性の野生型occludinの影響のない状態でのoccludinのジスルフィド結合の影響を検討した。 ビオチン標識を利用したoccludin細胞内分布の検討では、変異型occludin、野生型occludinいずれも細胞表面および内部に同様の分布を示した。蛍光顕微鏡によるGFP-occludinの観察でも同様であった。 シクロヘキシミドを用いたoccludinの安定性の検討では、野生型とCys変異型では同様の安定性を示した。塩化コバルト処理による仮想的な低酸素状態でのoccludinの安定性は、野生型よりCys変異型の方が安定している傾向があった。また、高濃度の塩化コバルト曝露状態では、野生型occludin、Cys変異型occludinともに細胞膜上に多く分布することが確かめられた。この現象はユビキチンE3リガーゼITCH認識部位を変異させたoccludinでは認められず、低酸素状態のoccludinの同様の動態と考えられた。 また、細胞増殖の検討では、occludin発現細胞株よりoccludinノックアウト細胞株の方がやや増殖性が高い傾向が見られた。さらに、occludinノックアウト細胞株にoccludinの野生型やCys変異型を発現させた場合、Cys変異型を発現させた方がより高い増殖性が認められた。なお、ユビキチンE3リガーゼITCH認識部位を変異させたoccludin発現細胞の増殖性は、細胞密度が低い状態では野生型と同様であった。
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