2020 Fiscal Year Research-status Report
HHV8陰性・形質細胞型キャッスルマン病における新規バイオマーカーの探索
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20K07407
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
佐藤 康晴 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (00579831)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Castleman disease |
Outline of Annual Research Achievements |
RNAシーケンスを行うため、形質細胞型キャッスルマン病20例、コントロールとして非特異的反応性リンパ過形成10例の凍結保存リンパ節検体を抽出した。本来であれば、初年度にRNAシーケンスの結果が出る予定であったが、新型コロナウイルスの感染拡大により当初予定していた計画よりも大幅に遅延した。現状では、全検体からRNAの抽出が完了し(全例RNA品質はクリアしている)、現在RNAシーケンス解析を行っているところである。これに並行して、形質細胞型キャッスルマン病の肺病変について、臨床病理学的に解析を行った。病理形態学的には、形質細胞型キャッスルマン病は成熟型形質細胞のシート状増生を特徴としており、これに対してIgG4関連肺疾患は幼弱から成熟型形質細胞の増生で小リンパ球や好酸球を伴っていた。これ以外には有意な形態学的な相違は認められなかった。免疫組織学的には、IgA陽性細胞数が形質細胞型キャッスルマン病で有意に高値を示していた。さらにIL-6免疫染色では、形質細胞型キャッスルマン病が有意に強陽性を示していた。臨床学的には、形質細胞型キャッスルマン病が有意に若年者に多く、肺の他にリンパ節病変を伴っており、その他に脾臓、皮膚、肝臓などがあり、IgG4関連疾患では認められなかった。これに対してIgG4関連肺疾患では、膵臓や唾液腺に病変を伴っており、明らかな有意差が認められた。臨床検査データでは、形質細胞型キャッスルマン病は、有意差をもって血小板数、CRP値、IgAが高値であった。なお、IgE値には有意差は認められなかった。これらの結果について、国際英文雑誌に論文発表を行った(J Pers Med. 2020: 10, 269; doi:10.3390/jpm10040269)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大により、研究室での活動が制限されたため、当初予定していた計画よりも大幅に遅れた。現時点では、形質細胞型特発性多中心性キャッスルマン病(TAFRO症状なし)14例、形質細胞型特発性多中心性キャッスルマン病(TAFRO症状あり)6例およびコントロールとして非特異リンパ節炎10例の凍結生材料からRNA抽出を行い、RNA-seqによる遺伝子発現解析を実施中である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究テーマの柱であるRNAシーケンスが約半年近く計画が遅延している。そのため、ラボでの実験をあまり必要としないデータ解析、すなわち形質細胞型キャッスルマン病の肺病変について臨床病理学的解析を前倒しで開始し、そのデータを国際英文雑誌に報告した。したがって研究計画の後半で計画していた仕事を早めに終了させることができたため、その部分に遅延した計画を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大により、研究室での活動が制限されたため、当初使用予定で計上していたRNAシーケンスの解析費用を使用できなかったため。しかしながら、すでにRNAの抽出は完了しており、すでに解析をスタートさせているため次年度で使用する予定である。
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