2020 Fiscal Year Research-status Report
Pathogenesis of FSGS in CNI toxicity in renal allograft
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20K07418
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
種田 積子 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (40408472)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 巣状糸球体硬化症 / カルシニューリン阻害薬 / 血管毒性 / 腎移植 / コロンビア分類 |
Outline of Annual Research Achievements |
移植腎におけるカルシニューリン阻害薬の長期使用と、二次性の巣状糸球体硬化症 (FSGS)の発症との相関を、小血管の慢性毒性の観点から検討した。(結果1)当院で行われた移植腎生検検体の約10%にFSGS病変がみられた(n=315)。これらはFSGSのない症例(n=3447)と比べ、原疾患がFSGSの割合が高く(13.3% vs 3.5%)、生検までの日数が長く、線維化や動脈硬化が進行していた。また、他の糸球体腎炎の出現例も多かった(37% vs 30%)。一方で、細動脈硬化を認めない症例はFSGSを有さない症例群よりも有意に低かった(42% vs 79%)。(結果2) 原疾患がFSGSである症例(n=117)では、再発は1か月以内が多かった。一方で、他の糸球体腎炎の新規発症は、術後から移植後1年半ころまで持続的に観察され、それ以降はほとんど認められなかった。(結果3) 原疾患がFSGSである症例、生検検体内に糸球体腎炎を発症している症例、拒絶のある症例を除外した51例で動脈病変とFSGSの形態像を検討した。動脈病変の軽度なものは高度なものに比べ、生検時の腎機能がよく、移植後日数が長かった。また、コロンビア分類によるとCOL亜型(n=8)、TIP亜型(n=1)、CEL亜型(n=7)、PH亜型(n=5)、NOS亜型(n=42)となり、COLとCEL亜型は腎機能障害と高度蛋白尿が理由で生検が行われ、一方でプロトコール生検の大半はNOS亜型であった。以上より、移植腎生検でのみられたFSGSの半数は、再発や新規糸球体腎炎の発症とは無関係の、他の成因で起きていた。さらに、移植の血管病変の程度と強く相関し、また、コロンビア分類上、急激な腎機能障害や蛋白尿を起こす亜型や、臨床像の軽微なプロトコール生検で気づかれる亜型があり、血管の重症度と糸球体の形態変化との相関が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特に問題なく進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
移植腎におけるカルシニューリン阻害薬の長期使用と、二次性の巣状糸球体硬化症 (FSGS)の発症との相関を、小血管の慢性毒性の観点から検討した。慢性毒性を有した小血管とFSGSの光顕像および臨床像との関連性が認められたため、次のステップとして、各症例の電顕写真を用いて、上皮細胞と内皮細胞傷害の程度を検討したい。方法としては、ImageJを用いて、とりこんだ写真上で内皮細胞傷害と上皮細胞傷害像を定量評価する。その際に、内皮細胞傷害は糸球体基底膜の内皮下浮腫像で評価し、上皮細胞傷害は、足突起消失の程度と剥離の程度で評価を行う。足突起消失の程度は、主に蛋白尿の程度を反映し、足細胞剥離の程度は、主に腎機能予後の悪さにつながる指標と考えられている。これらの写真はすべて撮影を終え、現在少しづつ計測を行っている段階である。
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