2021 Fiscal Year Research-status Report
Regulation of the subcellular localization of p62 and its relation to the physiological role
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20K07421
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
蕨 栄治 筑波大学, 医学医療系, 講師 (70396612)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | p62 / オートファジー / ポドサイト |
Outline of Annual Research Achievements |
p62は見かけ上細胞質に局在しているように染色されるが、実質は核-細胞質間を常時行き来(シャ トリング)しているタンパク質である。 本研究では昨年度、p62の核―細胞質間シャトリングの仕組みと生理的意義を解明すること目的に、CRISPR/Cas9システムにより、核移行シグナル(NLS)、核外排出シグナル(NES)をそれぞれ欠失したp62遺伝子変異マウス(それぞれdNLS、dNESマウス)の作製を試み、どちらも目的通りの変異を持つF0マウスを得ることに成功した。dNLSマウスは大きな外見上の変化は認められなかったが、dNESホモ接合体マウスは生後8週齢以内に全ての個体が死亡した。解剖および血液生化学検査の結果、離乳直後より重度の腎機能障害が引き起こされていることが示され、これにより死に至っていることが予想された。 今年度は、腎機能について組織学的、生化学的な解析を加えた。病理所見では、遅くとも4週齢の時点でポドサイトの脱落、FSGSや半月体の形成を認めた。また、ユビキチン化タンパク質を伴うp62凝集体の核内形成が観察された。p62の核内限定的な局在は、核内タンパク質品質管理の異常を引き起こし、ポドサイト障害を生じさせることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
p62の新たな機能を見出しつつある。マウスの作成、解析ともに順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
p62の細胞内局在と機能との関係について新たな発見を見出しつつある。今後、dNESマウスに生じる腎障害メカニズムについて、ポドサイトに着目して解析を進める。dNESマウスの核内にはp62とともにユビキチン化タンパク質が凝集していることから、この凝集体に含まれるタンパク質を質量解析により同定することを試みる。これにより、p62が関与する核内におけるタンパク質品質管理について、新たな知見が得られる。また、ポドサイト特異的にdNESを発現するAAVベクターを作製し、これを野生型、p62欠損マウスに投与することで誘導性の腎障害発症モデルを作製する。これにより腎障害発症に関与するp62構造レベルでの分子メカニズムの解明が可能になる。
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