2020 Fiscal Year Research-status Report
トリプトファン代謝を標的とした敗血症の免疫制御と新規治療戦略の確立
Project/Area Number |
20K07432
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
星 雅人 藤田医科大学, 保健学研究科, 講師 (40633996)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | KMO / 3-hydroxykynurenine / CLP / LPS / Sepsis |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、細菌感染症等において免疫細胞の誘導や活性を強力に制御することで知られているTRP代謝関連酵素およびその代謝産物に着目し、敗血症モデルマウスを用いたTRP代謝の免疫制御に及ぼす効果を明らかにする。さらに、従来の抗菌薬治療に加えて生体側の免疫能を改善させる新規治療戦略を視野に入れた標的因子の同定と、治療効果の期待できる集団を弁別する検査法の確立を主たる目的とした。本年度の実験計画に基づき、以下の知見を得ることができた。 1.大腸菌由来のLPSを野生型およびKMO遺伝子欠損マウスに腹腔内投与(15mg/kg)し、敗血症モデルを作製した。重要なことに野生型マウスと比較し、KMO遺伝子欠損マウスでは、有意に生存率が低下した。 2.LPS投与により、特に障害が強く出る肺臓、肝臓および腎臓を摘出し、KMOの発現・活性およびトリプトファン代謝産物の測定を行った。どの臓器においてもKMOの発現を認めたものの、特に肝臓におけるKMOの経時的変化は顕著であった。また、肝臓のKMOは肝細胞の他、特にF4/80陽性細胞(肝内マクロファージ)で強い発現を認めた。肝臓内のトリプトファン代謝産物の経時的変化を確認したところ、KMOで代謝生成される3‐ヒドロキシキヌレニンの有意な増加を認めた。 3.肝臓内および血清中のサイトカイン(IL-6, IL-1b, TNF-a, IL-10, TGF-b)およびケモカイン量(CCL2, CCL5, CCL25)を測定した。肝臓中および血清中のIL-6量は、野生型と比較しKMO遺伝子欠損マウスで有意に高値であった。 以上の結果から、LPS投与により誘導されるKMOが生体保護に重要な役割を持つことが明らかになった。今後さらなる解析を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書に基づき実験を進めており、本年度は計画通りの内容を確認することができた。次年度は、LPS投与マウスにおいて同定されたKMO陽性細胞の中で、特に生理学的に重要となる責任細胞の同定を進める。さらに、KMOを制御することにより有意に変動することが確認されたIL-6の産生シグナルの解析およびその作用機序について解析をしていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究については変更なく実験計画書通りに進める予定である。現在までに得られた実験結果はLPS投与モデルからのものであり、やや臨床的な敗血症とは異なるものである。従って、次年度以降では、よりヒト臨床モデルに近い盲腸穿刺モデルマウスを用いた解析も推進する。さらに、敗血症患者の臨床サンプル(血清等)を収集し、トリプトファン代謝と予後や治療応答等の解析も視野に入れて実験を進める予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で当初の計画よりも物品等の納入に遅れが生じた。本年度はこの点を加味して発注等を行い、研究に支障がないようにしていく。
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Research Products
(2 results)