2021 Fiscal Year Research-status Report
変異型KRASによる腫瘍化を抑えるがん抑制遺伝子の同定(膵臓がんへの関与)
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20K07436
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Research Institution | Miyagi Prefectural Hospital Organization Miyagi Cancer Center |
Principal Investigator |
佐藤 郁郎 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), ティッシュバンクセンター, 部長 (50225918)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島 礼 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん薬物療法研究部, 部長 (10196462)
山下 洋二 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん薬物療法研究部, 特任研究員 (30420045)
加藤 浩之 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん薬物療法研究部, 共同研究員 (90770347)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 膵がん / Kras / Trp53 |
Outline of Annual Research Achievements |
膵管癌(PDAC)は、5年生存率がわずか10%という極めて致死率の高い癌である。膵臓癌の95%を含む、ヒトの全がん種の30%以上は、RASファミリー遺伝子の変異によって引き起こされる。変異型RASは最も強力ながん化促進因子の1つであり、現在まで研究が進められてきたにもかかわらず、その働きを抑える薬剤はいまだ作り出されていない。最近、興味深いことに、変異原メタンスルホン酸エチル(EMS)を用いたショウジョウバエでの遺伝学的スクリーニングにより、PP6遺伝子Ppp6cの欠損が癌性RASと協力して腫瘍細胞の増殖と浸潤を誘導することが確認され、Ppp6cがRAS関連がんの腫瘍抑制因子として機能していることが示唆された。 膵臓がんの95%がKRAS変異をもち、その70%がp53の異常(欠損または変異)をもつことがわかっている。もし、PP6が膵臓がんにおいて、変異型KRAS依存性の腫瘍形成を抑えることができれば、PP6を利用した治療法開発の可能性があると考えた。我々は、これまで、マウス発がん実験(皮膚がんと舌がん)において、KRAS変異を持つ膵臓にPP6を欠損させると、前がん病変の発生が促進されるというデータを得ている。また、マウス発がん実験(膵臓がん)において、PP6にはKRAS変異を抑える働きをもつことが示唆された。さらに長期観察や、p53の変異を導入することで、KRAS変異に加えてp53との関係を含め、PP6による膵がん発生の抑制メカニズムを解析中である。本研究によって、PP6が膵臓がんの新規がん抑制遺伝子かどうかの証明が可能である。また、本研究によって新しいマウス膵臓がんモデルが確立できれば、膵臓がんの発症メカニズムの解明に利用できる。また、優れたマウスモデルが作製できれば、新規薬剤のスクリーニングに活用できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々の開発したPpp6cF/Fマウスと、Pdx1-CreERTマウス(Jackson 研)、Kras LSL-G12D/+マウス(Jackson 研)、およびp53 F/Fマウス(Jackson 研)を掛け合わせて以下のマウスを作製した。遺伝子発現・欠損の誘導剤としてタモキシフェン(TAM)を用いる。 K6cマウス (膵特異的に、変異型KRAS+Ppp6c欠損となるマウス) として、以下の3種類のマウスを作成した。(1)変異型KRAS+Ppp6cホモ欠損:Pdx1-CreERT2 ; KRAS LSL-G12D/+ ; Ppp6cF/F、(2)変異型KRAS+Ppp6cヘテロ欠損:Pdx1-CreERT2 ; KRAS LSL-G12D/+; Ppp6cF/+、(3)変異型KRAS+Ppp6c正常:Pdx1-CreERT2+KRAS LSL-G12D/+ ; Ppp6c+/+ KP6cマウス (膵特異的に、p53欠損+変異型KRAS+Ppp6c欠損となるマウス) として以下の3種類のマウスを作成した。p53欠損+変異型KRAS +Ppp6cホモ欠損:p53 F/F + (1)、p53欠損+変異型KRAS+ Ppp6cヘテロ欠損:p53 F/F + (2)、p53欠損+変異型KRAS+Ppp6c正常:p53 F/F + (3) これまで、K6cマウスに関しては、ほぼ実験が終了している。Ppp6cホモ欠損では、TAM処理後6ヶ月で、膵臓の半分以上が前癌病変PanIN1と2で占められた。さらに、TAM処理後12ヶ月で、ほとんどの組織が前がん病変となり、上皮内がんが発生した。一方で、Ppp6c正常マウスでは病変は微細であった。また、KP6cマウスを用いた実験結果も出つつある。Ppp6cホモ欠損では、早期に膵がんの発生が認められている。現在は、KP6cマウスを用いた実験が現在進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
Ppp6cマウスのPpp6cホモ欠損では、早期に膵がんの発生が認められている。Ppp6cホモ欠損では、変異誘導3ヶ月において、すべてのマウスにおいて膵がんが発生した。現在、免疫組織学的解析で、シグナル経路のリン酸化の異常の有無を解析中である。また、腫瘍組織内の遺伝子発現および代謝産物の解析を開始している。また、悪液質の併発がつよく疑われたので、血清中のサイトカインの量、筋肉組織における遺伝子発現の解析を開始している。
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Causes of Carryover |
消耗品費が当初想定よりも少なくすんだため、次年度の消耗品費に上積みし、より迅速な計画進捗をねらう。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Ppp6c haploinsufficiency accelerates UV-induced BRAF(V600E)-initiated melanomagenesis.2021
Author(s)
Kanazawa K, Kishimoto K, Nomura M, Kurosawa K, Kato H, Inoue Y, Miura K, Fukui K, Yamashita Y, Sato I, Tsuji H, Watanabe T, Tanaka T, Yasuda J, Tanuma N, Shima H
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Journal Title
Cancer Sci.
Volume: 112(6)
Pages: 2233-2244
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Ppp6c deficiency accelerates K-ras(G12D)-induced tongue carcinogenesis.2021
Author(s)
Kishimoto K, Kanazawa K, Nomura M, Tanaka T, Shigemoto-Kuroda T, Fukui K, Miura K, Kurosawa K, Kawai M, Kato H, Terasaki K, Sakamoto Y, Yamashita Y, Sato I, Tanuma N, Tamai K, Kitabayashi I, Matsuura K, Watanabe T, Yasuda J, Tsuji H, Shima H
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Journal Title
Cancer Med.
Volume: 10(13)
Pages: 4451-4464
DOI
Peer Reviewed / Open Access