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2021 Fiscal Year Research-status Report

滑膜肉腫幹細胞の維持・制御に関わる遺伝子群の解析と新規治療法への応用

Research Project

Project/Area Number 20K07441
Research InstitutionHokkaido University

Principal Investigator

木村 太一  北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (90435959)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 津田 真寿美  北海道大学, 医学研究院, 准教授 (30431307)
Project Period (FY) 2020-04-01 – 2023-03-31
Keywords癌幹細胞 / 滑膜肉腫 / 稀少癌 / エピジェネティクス
Outline of Annual Research Achievements

本研究では先行研究により同定した滑膜肉腫幹細胞においてのみ特異的に発現上昇を呈する遺伝子、SS18-SSXに滑膜肉腫幹細胞特異的に結合するタンパクの解析とともに、滑膜肉腫幹細胞特異的SS18-SSX結合プロモーター領域の網羅的同定を行い、特にSWI/SNF型クロマチンリモデリング複合体と腫瘍幹細胞の性状、維持機構との関連を解析する事で新規治療法の創出を目指すものである。
cDNAマクロアレイを用いた網羅的な遺伝子発現比較解析によりCXCR4陽性の滑膜肉腫幹細胞及び幹細胞培養群で特異的に発現上昇する遺伝子とSS18-SSXにより腫瘍幹細胞中で発現制御される可能性のある15遺伝子を候補遺伝子とし研究を進めている。本年度は引き続き15遺伝子のうち滑膜肉腫幹細胞特異的に発現制御されている可能性が示唆された遺伝子から順にレンチウィルスベクターを用いたノックダウン細胞株を樹立し解析を行っている。
腫瘍幹細胞特異的なSS18-SSX結合タンパクの同定に関しては、質量分析計を用いた詳細な解析により幹細胞培養群でのみ結合することが示唆された15の候補タンパクの解析を進めている。大部分の候補タンパクは核内で転写調節にあずかるものであり、またそのうちの一つであるRBM14は実際にSS18-SSXとの結合が報告されていることから、結合実験の結果は概ね妥当と考えている。本年度は候補タンパクのうち文献上幹細胞性の制御にかかわる可能性が高いものについてレンチウィルスベクターを用いたノックダウン細胞株を樹立し解析を行っている。
腫瘍幹細胞特異的なSS18-SSX結合プロモーター領域の網羅的同定に関しては、引き続きChIPアッセイを施行する際の至適条件の検討を行ってきたが難航しており下記に示すような方針の変更を考えている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

cDNAマクロアレイを用いた網羅的な遺伝子発現比較解析によりCXCR4陽性の滑膜肉腫幹細胞及び幹細胞培養群で特異的に発現上昇する遺伝子とSS18-SSXにより腫瘍幹細胞中で発現制御される可能性のある遺伝子として、各遺伝子のgene annotationも考慮し、15遺伝子を同定した。このうちASCL2およびFOXD3が滑膜肉腫幹細胞特異的に発現制御されている可能性が強く示唆されたため、レンチウィルスベクターを用いたノックダウン細胞株を樹立した。リアルタイムPCRの結果では通常培養条件下で2遺伝子のノックダウン細胞株ではいずれも対照群に比べて、CXCR4、NANOG、OCT3/4、SOX2の発現が優位に低下する一方、SS18-SSXの発現量に明らかな変化を認めなかった。
腫瘍幹細胞特異的なSS18-SSX結合タンパクの同定に関しては、質量分析計を用いた詳細な解析により同定した15の候補タンパクの解析を進めている。現在までに文献検索等の情報から幹細胞性の制御、維持に関与するタンパクとしてPARP1を抽出した。そのため293T細胞にSS18-SSX2を過剰発現させた系を用いて免疫沈降を行ったところ、SS18-SSX2と内在性のPARP1との結合が示唆された。現在は別の系を用いた結合の再現確認とともにレンチウィルスベクターを用いたノックダウン細胞株を用いて増殖能、幹細胞関連遺伝子の発現変動を中心に解析を継続中である。
腫瘍幹細胞特異的なSS18-SSX結合プロモーター領域の網羅的同定に関しては、ChIPアッセイを施行する際の各種条件検討を行ったが、次世代シークエンサーを用いた網羅的な解析に充分な収量、純度の断片化したクロマチンの精製に至る条件の設定に苦慮しており方針の変更を考慮している。

Strategy for Future Research Activity

cDNAマクロアレイを用いた網羅的な遺伝子発現比較解析によりCXCR4陽性の滑膜肉腫幹細胞及び幹細胞培養群で特異的に発現上昇する遺伝子とSS18-SSXにより腫瘍幹細胞中で発現制御される可能性のあるASCL2、FOXD3に関しては、樹立したノックダウン細胞株を用いて、増殖能や幹細胞関連遺伝子の発現変動を定量化することで滑膜肉腫幹細胞の維持に対する影響を解析し、滑膜肉腫の治療標的となり得るかどうかを検証する。
腫瘍幹細胞特異的なSS18-SSX結合タンパクの同定に関しては、幹細胞性の維持、制御に関与する可能性から絞り込んだPARP1に対して免疫沈降法によりSS18-SSXとの結合確認をより厳密に行う。また上記2遺伝子と同様にノックダウン細胞株を用いて、滑膜肉腫幹細胞の維持に対する影響を解析し滑膜肉腫の治療標的となり得るかどうかを検証する。
腫瘍幹細胞特異的なSS18-SSX結合プロモーター領域の網羅的同定に関しては、引き続きChIPアッセイを施行するサンプルの条件設定を行うと共に、ChIPアッセイで使用実績のあるBAF155、BRG1に対する抗体を用いて、沈降したクロマチン中に予備実験で絞り込んだ腫瘍幹細胞中で発現制御される可能性のある15遺伝子領域が含まれているかどうかをリアルタイムPCR法により検証する。

  • Research Products

    (2 results)

All 2022

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results)

  • [Journal Article] 膵神経内分泌腫瘍術後5年目に発症した胃 mixed neuroendocrine non-neuroendocrine neoplasm (MiNEN)の一例2022

    • Author(s)
      白川智沙斗、三野和宏、深澤拓夢、中積宏之、木村太一、堂本栄治、川村秀樹
    • Journal Title

      日本消化器病学会雑誌

      Volume: 119 Pages: 245-250

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 短期間で著明な形態的変化を内視鏡的に観察しえた胃癌の1例2022

    • Author(s)
      佐々木 耕, 長島 一哲, 木村 太一, 加藤 茜, 江上 太基, 伊藤 淳, 多谷 容子, 中積 宏之, 馬場 麗, 加藤 貴司
    • Journal Title

      日本消化器内視鏡学会雑誌

      Volume: 64 Pages: 37-42

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2022-12-28  

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