2020 Fiscal Year Research-status Report
Sleeping Beautyマウス肝発がんモデルを用いた新規肝がん治療薬の開発
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20K07443
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
山本 雅大 山形大学, 医学部, 助教 (30431399)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 肝癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、Sleeping Beautyトランスポゾン肝発がんモデルを用いて、発癌に伴い活性化するシグナルに基づいた肝腫瘍の治療法を探索することを目的としている。 本研究代表者はこれまでに、マウス肝細胞に活性化型AKT(myrAKT)と活性化型YAP(YAPS127A)を導入し、胆管癌で活性亢進が見られるPI3キナーゼ経路とHippo-YAP経路を同時に活性化すると、その発癌過程でNotch経路とc-Mycの活性化を伴いながら、胆管癌が発生することを報告した(Yamamoto et al., Am J Pathol 2018)。本年度は、この胆管癌モデルにおけるNotch経路とc-Mycの阻害効果を検討した。 この胆管癌より樹立した培養腫瘍細胞を用いて、Notch経路とc-Mycをそれぞれ阻害する薬剤Xと薬剤Yの効果を検討した。薬剤Xと薬剤Yを組み合わせは、この腫瘍細胞に対して、増殖抑制効果を示した。 この発癌過程におけるc-Myc阻害の影響を検討するために、c-Mycの転写活性を阻害するタンパク質を発現する遺伝子ZをmyrAKTとYAPS127Aと同時に導入すると、その発癌は著しく抑制され、c-Mycを阻害することで腫瘍を抑制することができる可能性が強く示唆された。一方、myrAKTとYAPS127Aを導入したマウスに薬剤Xと薬剤Yの投与を試みたが、明らかな腫瘍抑制効果はみられなかった。 以上より、myrAKTとYAPS127Aで誘導した胆管癌はNotch経路とc-Mycを抑制することにより腫瘍の成長が抑制されることが示唆されたが、生体内での薬剤による腫瘍抑制効果は明らかではなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
胆管癌モデルにおいて部分的ではあるが、Notch経路とc-Mycの役割が明らかになったため。
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Strategy for Future Research Activity |
胆管癌モデルで生体内でのPI3 kinase経路とHippo-YAP経路の役割を更に明らかにする。また、他の薬剤や他のモデルについても検討を進める。
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Causes of Carryover |
本年度は単一のマウスモデルでの検討に留まったため。次年度以降に他のマウスモデルでの検討を行う予定。
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