2023 Fiscal Year Annual Research Report
Sleeping Beautyマウス肝発がんモデルを用いた新規肝がん治療薬の開発
Project/Area Number |
20K07443
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
山本 雅大 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 教授 (30431399)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 胆管癌 / 肝細胞癌 / Sleeping Beautyトランスポゾン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、Sleeping Beautyトランスポゾンを利用した胆管癌および肝細胞癌のマウスモデルを用いて、これらの疾患に対する新規治療候補薬の発見を目指している。胆管癌および肝細胞癌モデルから樹立された細胞株による薬剤スクリーニングを通じて、抗腫瘍効果を示す3種類の候補薬剤を同定した。しかし、動物モデルでの検討では、これらの候補薬剤が顕著な抗腫瘍効果を示すことはなく、効果は限定的であった。 胆管癌モデルでは、AKTとYAP遺伝子の活性化に基づくモデルを用いた。この胆管癌細胞株のスクリーニングで発見された候補薬剤は、AKT/YAP誘導型胆管癌で活性化される標的分子を持ち、培養細胞での抗腫瘍効果が確認された。しかし、胆管癌モデルマウスでの検討では抗腫瘍効果が明らかではなく、投与量や投与期間の再検討が必要であると考えられた。 肝細胞癌モデルでは、HRASとMyc遺伝子の活性化によるモデルが使用され、誘導される腫瘍は幹細胞性を示すことが知られている。薬剤スクリーニングで発見された候補薬剤は、幹細胞性を標的にしており、培養細胞で抗腫瘍効果が確認された。肝細胞癌モデルマウスでの検討では、腫瘍の担癌量への効果は明らかではなかったものの、薬剤投与により腫瘍細胞のサイズが有意に変化し、幹細胞性への効果が示唆された。 以上のように、本研究では、肝がんモデルマウスを用いた検討において抗腫瘍効果は限定的であったものの、胆管癌や肝細胞癌に対する新規候補薬剤を見つけることができた。
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