2021 Fiscal Year Research-status Report
Elucidating the role of lncRNA and RNA helicase complex in inflammatory response
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20K07444
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
千葉 朋希 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (00645830)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 長鎖費コードRNA / 炎症性サイトカイン / RNAヘリカーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
新たに同定した長鎖非コードRNAが炎症性サイトカインであるIL-6やTNFα、GM-CSFなどの産生に極めて重要であることを示してきた。また、このメカニズムとし て転写因子NF-kBのプロモーター領域への動員およびそれに続くRNAポリメラーゼIIの動員の低下による転写レベルにおける制御であることを明らかにしてきた。 また、ゲノム編集技術を用いて遺伝子改変マウス(ノックアウトマウス)を作製し、個体レベルにおける炎症応答への寄与を検討し、LPS投与によるエンドトキシン ショックに対して抵抗性を示 す一方で、硫酸デキストランナトリウム(DSS)誘導性大腸炎においては、ノックアウトマウスは感受性を示し、体重減少とともに早期に死亡することを明らかにしてきた。腸管固有層の CD11b陽性マクロファージを単離し、炎症性サイトカインの発現を検討したところ、ノックアウトマウスでIL-6やIL12p40、GM-CSFの発現が顕著に低下していた。 その分子機構を明らかにするために結合タンパク質の探索を行ったところRNAヘリカーゼが有力な候補である可能性が示唆された。DHX9抗体を用いた Crosslinking and immunoprecipitation (CLIP)法を用いてDHX9と長鎖非コードRNAの結合を解析を行った。以上のことから、長鎖非コードRNAはRNAヘリカーゼな どのタンパク質と複合体を形成することで炎症性サイトカインの産生を制御するとともに個体レベルにおいてエンドトキシンショックに 対する抵抗性と腸炎に おける感受性に寄与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究成果としてChromatin isolation by RNA purification (ChIRP)法を用いて非コードRNAと相互作用するタンパク質の同定を試みた。その結果、非 コードRNAと相互作用するタンパク質 として複数の候補タンパク質を得ることができた。その中で、RNAヘリカーゼタンパク質であるDHX9およびDDX5と多彩な機能が知られているRNA結合タンパク質でるHNRLPLが重要なパートナー分子である可能性が示唆され、HNRLPLについてはRIPアッセイにより長鎖費コードRNAとの結合が強く示唆された。当初の計画通りに、マウ スマクロファージにおいて抗DHX9抗体を用いたCrosslinking and immunoprecipitation (CLIP)法を用いてDHX9と長鎖非コードRNAの結合を解析を行った。その結 果、DHX9と結合する多くのRNA断片を得ることができ、長鎖非コードRNAへの結合を示すシーケンスリードも確認できた。DHX9をsiRNAによりノックダウンするとIL-6やLCN2の発現低下が見られた。マクロファージは生体内において機能の異なるサブセットが存在することが近年の研究で明らかになってきているが、非コードRNAが肺や腸管に存在するCD11bおよびCD11c陽性のマクロファージに強く発現することが明らかになった。これらの細胞は炎症性サイトカインも高く発現する細胞集団であるため長鎖費コードRNAが炎症性サイトカインの高い発現に関わっている可能性も示唆される。
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Strategy for Future Research Activity |
ChIRP法に同定したRNAヘリカーゼであるDHX9が新規に同定した長鎖非コードRNAの機能に重要な役割を果たすことが示唆されたためCLIP法によるDHX9と長鎖非 コードRNAの直接的な結合の解析および長鎖非コードRNAの結合領域の解明を目指す。また、他の候補であるDDX5やHNRLPLと長鎖費コードRNAの結合についてもCLIP法により検証する。興味深いことにこれら3つのRNA結合タンパク質はすべて核へ局在することが知られていることから、長鎖費コードRNAが核内において炎症性サイトカインの転写を調節している可能性が示唆された。そこで、令和4年度はRNA-FISH方を用いて、長鎖費コードRNAの核への局在に重要な配列を長鎖費コードRNAのdeletion mutantを作製して検討する。さらに変異体におけるRNA結合タンパク質への結合能を検討する。得られた3つのRNA結合タンパク質の全てと結合しうるかどうか、3つのすべてが長鎖費コードRNAを介した炎症性サイトカインの発現制御に重要であるかどうかは明らかではないため、これについて検討する。また、これらのRNA結合タンパク質はRNA結合ドメインを有するためRNA結合タンパク質であるのと同時に転写のコファクターとしての報告も複数あるため、これらRNA結合タンパク質が長鎖費コードRNAと複合体を形成し、炎症性サイトカインの転写調節に関わるという仮説のもと、野生型および長鎖費コードRNA欠損マクロファージにおいてDHX9、DDX5、HNRLPLに対する抗体を用いてChIPアッセイを行う。
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Causes of Carryover |
新たにDHX9他にDDX5やHNRLPLが長鎖費コードRNAと結合するタンパク質としての可能性が得られたため、これらと長鎖費コードRNAの結合を評価するCLIPや生化学的な解析が必要となり、次年度での使用が必要となったため。
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Research Products
(3 results)