2020 Fiscal Year Research-status Report
Identification of novel tumor morphological features on HE-stained slides by electron microscopy observation using the NanoSuit method
Project/Area Number |
20K07445
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
新村 和也 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (40321880)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ナノスーツ法 / 電子顕微鏡 / 唾液腺腫瘍 / 一次繊毛 / Shhシグナル経路 |
Outline of Annual Research Achievements |
ナノスーツ法を用いて唾液腺腫瘍における一次繊毛の電子顕微鏡像を取得することに世界で初めて成功したので、その研究について報告する。 8種類の病理組織型で構成される計100例の唾液腺腫瘍に対して、繊毛マーカー抗体を用いた免役組織化学的解析を行った。その結果、多形腺腫、基底細胞腺腫、腺様嚢胞癌、基底細胞腺癌では、解析した全ての症例で一次繊毛(+)であり、また、ワルチン腫瘍、唾液腺導管癌、粘表皮癌、腺房細胞癌では全ての症例で一次繊毛(-)であることが示された。この一次繊毛の有無の病理組織型区分は、筋上皮・基底細胞への分化の成分を含むか否かに対応した。さらに、浜松医科大学で近年開発されたナノスーツ法を用いて免疫染色標本を電界放出型走査電子顕微鏡鏡察することにより、細胞から突き出る一次繊毛の立体構造写真を得ることに成功した。また、ナノスーツ・correlative light electron microscopy (CLEM)法にて、免疫染色標本上の一次繊毛と同一部位に立体的な一次繊毛像を得た。 この唾液腺腫瘍における一次繊毛は、(1)正常組織における一次繊毛と比べ、長さが有意に長い、(2)腫瘍内における生え方に4種の病理組織型間で違いがある、(3)他臓器への直接浸潤、局所再発、遠隔転移を示した癌において一次繊毛が保持されている、という特徴を示した。また、興味深いことに、一次繊毛陽性唾液腺腫瘍では、Shhシグナル経路が活性化していた。最後に、初期繊毛形成に関わる遺伝子の内、一次繊毛状態と対応する発現状況を示すものをスクリーニングし、TTBK2という候補遺伝子を見つけた。このTTBK2は、一次繊毛陰性腫瘍に比べ陽性腫瘍で有意に蛋白質発現が高く、また、細胞株の実験ではTTBK2が一次繊毛形成率を上昇させることが示された。 以上の結果は唾液腺の腫瘍化と一次繊毛との間の重要なリンクを示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究時間を予定どおり確保できており、概ね順調に進展しています。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、ナノスーツ法を用い、(A)非腫瘍vs腫瘍、各種腫瘍間、腫瘍幹細胞vs非腫瘍幹細胞での細胞表面・細胞内超微細構造の検討、(B)中心体・一次繊毛の観点からの検討、(C)DNA修復の観点からの検討、の3つの柱を立てて、HE病理標本上の電顕レベルでの今後の医学・医療の発展に役立つ腫瘍形態学的特性を新規に同定することに取り組む。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] Identification and characterization of primary cilia-positive salivary gland tumours exhibiting basaloid/myoepithelial differentiation2021
Author(s)
Shinmura K, Kusafuka K, Kawasaki H, Kato H, Hariyama T, Tsuchiya K, Kawanishi Y, Funai K, Misawa K, Mineta H, Sugimura H
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Journal Title
Journal of Pathology
Volume: -
Pages: -
DOI
Peer Reviewed