2022 Fiscal Year Research-status Report
miR-210 TGマウスにおける尿細管上皮増殖の機序解明と腎癌の新規治療法開発
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20K07448
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
中田 知里 大分大学, 医学部, 特任助教 (60379625)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 腎がん / miR-210 (miR-210-3p) |
Outline of Annual Research Achievements |
尿細管上皮細胞の増殖メカニズム解明を目指すにあたり、R3年度に、新たに実験モデルを追加する必要があると考え、ゼブラフィッシュを用いることにした。ネフロン構造がヒトとよく似ており、これまでもネフロン発生や腎疾患、腎薬物障害モデルに用いられている。 今年度、zVHL-KOおよびdre-mir-210-KOゼブラフィッシュを樹立することができた。zVHL-KOにおいてmiR-210が誘導されること、dre-mir-210-KOではmiR-210の発現が消失することを確認できた。zVHL-KOにおいては 心臓の拡張、浮腫が観察され、受精後12日前後で死んでしまうことが確認された。両系統について さらに表現型を探る。今後、見つけた表現型がダブルノックアウトにより改善するのか、または増悪するのか調べるために両系統を交配中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新たに実験モデルとして追加したゼブラフィッシュについて、zVHL-KOおよびdre-mir-210-KOを樹立することができた。zVHL-KOにおいてmiR-210が誘導されること、dre-mir-210-KOではmiR-210の発現が消失することを確認できた。また、zVHL-KOにおいて心臓の拡張、浮腫が観察された。電子顕微鏡で心筋、尿細管上皮を観察する予定であったが、学内の共通機器部門の改修のため使用中止となり、一時中断している。ネフロンの発生・分化を評価するために、これらのゼブラフィッシュとネフロン特異的にGFPを発現する系統(cdh17-GFP)を交配し、系統樹立を行っている。 今年度の計画はほぼ順調に進んだ。しかしながら昨年度、大学による改修工事に伴って所属講座の実験室が閉鎖となり、実施可能な実験が制限されたり、引越し作業に伴って(当時の)実験時間が減少したことから、全体の計画としてはやや遅れが出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
尿細管上皮細胞の増殖メカニズム解明を目指すにあたり、今回樹立したzVHL-KOおよびdre-mir-210-KOの遺伝子改変ゼブラフィッシュを用いて、ダブルKOを樹立する。これらのゼブラフィッシュにおいて、ネフロンの構造異常の有無、尿細管上皮細胞の増殖について調べる。これを評価するために、尿細管特異的にGFPを発現するゼブラフィッシュ系統(cdh17-GFP)との交配を行う。また、尿細管の微細構造について、電子顕微鏡で観察する。miR-210-Tgマウスで観察された代謝変動について、作製したゼブラフィッシュで同様の代謝経路が変動しているか、GC-MSなどにより確認したい。 ゼブラフィッシュは胚にモルフォリノやmRNAを注入することで、目的遺伝子を抑制あるいは過剰発現できる。これにより、miR-210によって変動していたエネルギー代謝関連遺伝子(これまでの研究から抽出済み)を標的し、尿細管上皮細胞の増殖・分化やネフロンの構造について観察したい。
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Causes of Carryover |
R3年度、大学による改修工事に伴って所属講座の実験室が閉鎖となり、実施可能な実験が制限されるなど実験を実施する時間が著しく減ったことで、計画に遅れが出ていた。R4年度の研究計画については、新規モデルとしてゼブラフィッシュを導入するなど、ほぼ順調に進んだが、R3年度の遅れを取り戻すまでには至っていない。よってR3年度の繰り越し分もあってR4年度で使用しきれず、次年度使用額が生じた。 尿細管上皮細胞の増殖-分化を評価するモデルとしてzVHL-KOおよびdre-mir-210-KOゼブラフィッシュが樹立できたので、R5年度はこれらを交配しダブルノックアウトの表現型を探る。次年度使用額を飼育費のほか、電子顕微鏡を含めた組織観察のための試薬、GC-MS解析、発現解析に用いる。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Involvement of clusterin expression in the refractory response of pancreatic cancer cells to a MEK inhibitor.2023
Author(s)
Amada K, Hijiya N, Ikarimoto S, Yanagihara K, Hanada T, Hidano S, Kurogi S, Tsukamoto Y, Nakada C, Kinoshita K, Hirashita Y, Uchida T, Shin T, Yada K, Hirashita T, Kobayashi T, Murakami K, Inomata M, Shirao K, Aoki M, Takekawa M, Moriyama M.
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Journal Title
Cancer Sci.
Volume: 114
Pages: 2189-2202
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Efficient Establishment of Bile-Derived Organoids From Patients With Biliary Cancer.2023
Author(s)
Kinoshita K, Tsukamoto Y, Hirashita Y, Fuchino T, Kurogi S, Uchida T, Nakada C, Matsumoto T, Okamoto K, Motomura M, Fukuchi S, Sagami R, Nagai T, Gotoh Y, Fukuda K, Ogawa R, Mizukami K, Okimoto T, Kodama M, Murakami K, Moriyama M, Hijiya N.
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Journal Title
Lab Invest.
Volume: 103
Pages: 100105
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Enhanced phosphorylation of c-Jun by cisplatin treatment as a potential predictive biomarker for cisplatin response in combination with patient-derived tumor organoids.2022
Author(s)
Tsukamoto Y, Kurogi S, Shibata T, Suzuki K, Hirashita Y, Fumoto S, Yano S, Yanagihara K, Nakada C, Mieno F, Kinoshita K, Fuchino T, Mizukami K, Ueda Y, Etoh T, Uchida T, Hanada T, Takekawa M, Daa T, Shirao K, Hironaka S, Murakami K, Inomata M, Hijiya N, Moriyama M.
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Journal Title
Lab Invest.
Volume: 102 (12)
Pages: 1355-1366
DOI
Peer Reviewed / Open Access