2020 Fiscal Year Research-status Report
SLC26A7とPendrinの調節機構と結節性甲状腺腫の発病機序の関係
Project/Area Number |
20K07451
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
菅間 博 杏林大学, 医学部, 特任教授 (10195191)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 浩一 杏林大学, 医学部, 教授 (30189849)
矢澤 卓也 獨協医科大学, 医学部, 教授 (50251054)
中里 陽子 杏林大学, 医学部, 助教 (60424115)
石井 順 獨協医科大学, 医学部, 助教 (80749599)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 甲状腺 / SLC26A7 / Pendrin / 結節性甲状腺腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
新規のヨウ素トランスポーターであるSLC26A7(Isidrin = Iodide-Specific Import DRiving protein)と既知のSLC26A4(Pendrin)の機能の違い、結節性甲状腺腫の発病機構との関係を明らかにすることを目的として、以下の検討をおこなった。 1)SLC26A7とSLC26A4遺伝子の転写調節機構の解析:両遺伝子のプロモータ領域を種々のデータベースを参照して比較解析した。SLC26A7にはTTF2、SLC26A4にはPAX8のコンセンサス配列が認められなど、結合する転写因子は両者で違いがあることが明らかになった。また、PAX8の抑制はSLC26A7の発現も減弱することから、in vivoでの両遺伝子の発現は相互に影響する可能性があることが明らかになった。 2)SLC26A7を認識する特異抗体の作成:疾患とのSLC26A7の3次構造等に着目して抗原候補のペプチドを合成し、ウサギを免疫して血清を採取し、ELISA、ウエスタンブロットと免疫染色にて特異抗体のスクリーニングを行った。当初、2か所の細胞内ドメインのアミノ酸配列からなるペプチドを抗原としたが、特異的な抗体が得られなかった。そこで4か所の細胞外ドメインのアミノ酸配からなるペプチドを抗原として、ウサギを免疫した。その結果、ELISAと免疫染色にて特異的に反応する抗体が1種得られた。 3)SLC26A7とSLC26A4のin vivoにおける発現解析:ヒト甲状腺組織のホルマリン固定パラフィン標本で、上記の2)で得られたSLC26A7特異抗体と市販のSLC26A4特異抗体を用いて、蛋白レベルの発現と局在を免疫組織学的に比較解析した。両蛋白は濾胞内腔面に発現されるが、その発現パターンが異なることが明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
SLC26A7は新規のヨウ素トランスポーターであるため、蛋白レベルの解析、in vivoにおける発現解析には、特異抗体を作る必要がある。しかし、実績の概要の2)で記載した如く、を認識する特異抗体の作成に手間取った。当初の研究計画は、半年程度で特異抗体が得られることを前提としていたが、ほぼ1年を要した。よって、当初の予定より全体に半年ほど遅れた。 また、コロナ禍にあって研究のための勤務が大学により一時制限されたことも、遅れの理由となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の実績をふまえ、当初の予定通り以下の如く研究を進める。 1)SLC26A7とSLC26A4の転写調節機構の比較解析:甲状腺培養細胞を用いて両遺伝子の転写調節活性を定量的に比較解析する。 2)SLC26A7とSLC26A4の蛋白発現と局在の比較解析:作製したSLC26A7特異抗体と市販のSLC26A4特異抗体を用いて、ヒト甲状腺組織での両遺伝子の蛋白レベルの発現と局在を、濾胞構造やコロイド内ヨウ素量との関係に着目して、免疫組織化学に比較解析する。同様にマウス甲状腺組織での両蛋白の発現と局在を比較解析する。 3)SLC26A7とSLC26A4のノックアウトマウス、トランスジェニックマウスを用いた比較解析:両遺伝子それぞれのノックアウトおよびトランスジェニックマウスを入手し、各マウスの甲状腺ホルモン機能ならびに病理形態像を解析するとともに、特異抗体を用いて免疫組織学的に比較解析する。 4)臨床検体を用いた人体病理学的な解析:結節性甲状腺腫の手術標本を対象として、結節(腫瘍)部および非結節(腫瘤)部に於ける、SLC26A7とSLC26A4の発現を免疫組織学的に明らかにする。濾胞コロイド内のヨウ素貯蔵量との関係も組織化学に解析する。
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