2022 Fiscal Year Annual Research Report
Virus infection induces neuroinflammation by autoimmune T cells in the multiple sclerosis model
Project/Area Number |
20K07455
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
角田 郁生 近畿大学, 医学部, 教授 (00261529)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 多発性硬化症 / 神経炎症 / 自己免疫 / ウイルス感染 / 動物モデル / 中枢神経系 |
Outline of Annual Research Achievements |
多発性硬化症 (MS) は神経系における炎症と髄鞘の損失(脱髄)を特徴とする疾患であり、全世界で 230 万人、日本では 2 万人の患者が存在する。MS は発病の機構があきらかでない指定難病のひとつであるが、臨床疫学データ等から自己免疫素因のある個人が環境因子、特にウイルスに暴露された時に MS 発症に至ると推察されている。しかし、ウイルス感染に由来する何が MS 発症を誘導するのか不明である。本研究の目的は、ウイルス感染が神経炎症の引き金となるメカニズムを明らかにすることである。2022年度は、ウイルス感染に伴い変化することが報告されている腸内細菌叢が、神経炎症・抗体のサブセット反応に影響を及ぼすことを明らかにした。また、MSと同じように、感染症が神経炎症を起こす疾患にギランバレー症候群 (GBS)があり、神経症状に関連して多様な自己抗体が出現することが知られているが、ひとりの患者から複数の抗体が検出された場合に、それぞれの自己抗体が、いかに病態に寄与しているかを解明するには、ビッグデータ解析が必要である。2022年度は、バイオインフォマティクスの手法を用いて、複数の自己抗体が検出された血清を解析し、どの抗体が、いかに病態に関連するかを明らかにした。具体的には、これまで心理学分野で用いられてきた探索型因子分析(Exploratory factor analysis, EFA) の手法を各種抗体価からなるビッグデータ解析に応用し、脱髄、軸索変性などにエフェクターとして機能する自己抗体群を明らかにするとともに、疾患の抑制に働く複数の抗体を発見することができた。そこで、EFAが神経炎症のデータ解析・機序解明に有用なツールであること、さらにEFAがMSのみならず、新型コロナウイルス感染を含む医学データ一般にも応用可能である発展性のあるツールであることを論文にて提唱した。
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