2022 Fiscal Year Annual Research Report
エーラス・ダンロス症候群患者iPS細胞を適用した骨・軟骨組織の再生に関する研究
Project/Area Number |
20K07457
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
庄司 正樹 徳島文理大学, 薬学部, 講師 (00636821)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エーラス・ダンロス症候群 / 疾患特異的iPS細胞 / ZIP13 / 亜鉛トランスポーター / 骨分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
脊椎手掌異形成型エーラス・ダンロス症候群(EDSSPD3)は、細胞内亜鉛トランスポーターであるZIP13の遺伝的点変異により発症したヒト疾患であり、ZIP13の64番目のアミノ酸であるGly(G)がAsp(D)へと変異(G64D点変異)していることが発見されている。当該患者は、骨・軟骨などの全身的な結合組織の脆弱性を呈する。そこで、EDSSPD3の病態研究や創薬研究において、ZIP13-G64D点変異による影響を厳密に評価するために、CRISPR/Cas9システムを適用して、当該患者由来iPS細胞のZIP13-G64D点変異を修復した。その結果、ZIP13遺伝子をホモ変異型からヘテロ修復型或いはホモ修復型に修復されていた。したがって、EDSSPD3患者iPS細胞のZIP13-G64D点変異の修復細胞株を樹立できた。 間葉系間質細胞(MSC)は、骨芽細胞や軟骨細胞などに分化することができる。そこで、ヒトiPS細胞からMSCへの分化誘導法を適用し、EDSSPD3患者由来iPS細胞からMSCへと誘導させた。 次に、各種MSCの骨分化能を検討した。分化誘導したMSCを骨分化培地で28日間培養したところ、当該患者由来のMSCから分化した骨芽細胞は、健常者由来と比べ、骨分化マーカーであるALPの活性が低下した。しかし、ZIP13-G64D点変異の修復MSCから分化した骨芽細胞では上昇した。さらに、カルシウムの沈着を染色することで骨形成能を検討できるアリザリンレッドS染色でも同様の結果を得た。以上より、EDSSPD3患者iPS細胞由来のMSCは、健常者やZIP13-G64D点変異の修復株由来と比べ、骨芽細胞への分化能が低いことを見出した。この結果は、当該患者の有する「骨の脆弱性」という病態が、ZIP13-G64D点変異から起こるMSCの骨形成能低下に因ることを示唆している。
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Research Products
(1 results)