2020 Fiscal Year Research-status Report
赤痢アメーバと腸内細菌叢の関連性解析に基づく新規アメーバ増殖制御法の確立
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20K07466
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
吉田 菜穂子 順天堂大学, 医学部, 助教 (70327584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橘 裕司 東海大学, 医学部, 教授 (10147168)
小林 正規 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師(非常勤) (70112688)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 赤痢アメーバ / 腸内細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、まず赤痢アメーバを始めヒトに感染し得る各アメーバ種の実際のヒトへの感染、病原性に関連性の強い細菌/細菌叢を同定することを計画している。令和2年度は、「アジアのヒトとマカクにおける腸管寄生病原アメーバの探索と共進化の解明」(H28-H31,基盤B16H05819)の共同研究者として、タイ学童のアメーバ感染状況について報告した(Pattanawong U et al. PLoS Negl Trop Dis. 2021)。この研究で採取したアメーバ感染のある便検体について、5種の腸内細菌の菌量解析を行った結果、感染者の多かったE. disparと Bacteroides、Bifidobacteriumの菌量、またE. coliと硫酸還元菌、Bifidobacteriumの菌量に相関のあることが判明している。また、これまでに細菌共棲培養に硫酸還元菌を加えることにより、硫酸還元菌の産生する硫化水素が数種のアメーバの増殖促進効果があることを確認し報告した(Yoshida N et al. Bioscience Trends. 2019)。これらの菌を中心に、細菌共棲培養における赤痢アメーバを中心とした各アメーバ種と各菌との関係性についてさらに解析を進めるため評価法の構築を行っている。また、次に予定しているアメーバ感染動物実験においてアメーバの感染性、病原性を評価する方法の検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画に従い赤痢アメーバ等アメーバに感染した学童の便検体を用いて細菌叢の解析を実施した。すでに行っていた検体を用いて行ったため菌叢解析は順調に進行した。その後の共棲培養を用いた実験、また動物実験の準備において、当初予定していた評価・解析法の確立に時間を要しているが、全体としてはおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
すでにqPCRを用いた菌量解析から赤痢アメーバの増殖に関与すると結果の得られている細菌種、またメタゲノム解析の結果から関与する可能性の高い細菌種を推定し、実際に共棲培養系においてアメーバの増殖や病原性の変化について解析を進める。また、これらの結果を用いて、動物実験において病原性の評価をするための評価法の構築を進める。 また、現在までに見出している赤痢アメーバの増殖抑制効果が期待できる活性天然物の構造解析を行う。またその作用メカニズムについて、共棲に関わる生体内低分子の同定と変動分析から解析し、この結果を赤痢アメーバ感染と細菌叢との共棲機構の解明につなげる予定としている。
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Causes of Carryover |
すでに保存していた試薬や消耗品から先に使用したため、購入が遅れたものがあった。また依頼していたものの納入に時間がかかり次年度請求となった試薬類、物品類があったため。
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