2020 Fiscal Year Research-status Report
ライフサイクル遮断によるアフリカトリパノソーマ症制御法の開発
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20K07467
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
櫻井 達也 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (60547777)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アフリカトリパノソーマ / プロテオーム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
アフリカトリパノソーマ原虫は、ベクターと宿主という異なる環境に適応するために、細胞分化を伴う複雑な生活環をもっている。原虫は、ベクターの吸血時に、非増殖性のメタサイクリック型(ベクター体内ステージ)が宿主に感染し、血流型(宿主体内ステージ)へと分化し、増殖することで、疾病を引き起こす。本研究の目的は、このメタサイクリック型から血流型への細胞分化の分子メカニズムを解明することである。本研究では、in vitroでメタサイクリック型から血流型への発育を高効率に誘導可能なTrypanosoma congolenseを用いて、虫体が発現する分子の網羅的な解析を基に実施する。本研究実施期間中は、分化誘導下の虫体のプロテオーム解析を中心に実施した。ベクターステージの培養上清中から回収したメタサイクリック型虫体を、ヤギ血清を添加して調製した血流型培養用培地に懸濁した後に、分化誘導条件下(33℃、5% CO2)で培養することで、血流型への分化を誘導した。虫体を経時的に回収し、タンパク質を抽出した。T. congolenseの各発育ステージの虫体は、ウシ胎児血清(FBS)を添加した培地を用いることで、in vitroで培養可能である。しかし、FBSを添加した培地は、メタサイクリック型から血流型への発育をサポートしないことが知られている。そこで、ヤギ血清を添加した培地とFBSを添加した培地で培養した際に、虫体が発現するタンパク質の比較解析を試みた。メタサイクリック型虫体を、ヤギ血清を添加した培地およびFBSを添加した培地のそれぞれに懸濁し、分化誘導条件下で培養した。12時間培養した後に虫体を回収し、タンパク質を抽出した。これらのタンパク質試料を用いたプロテオーム解析(ショットガン解析)を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究実施期間中は、研究計画に沿って、分化誘導下の虫体が発現する分子の網羅的解析を中心に実施した。当初は、原虫分子の経時的な発現の変動に関する情報を基に、以降の解析対象とする原虫分子を選定する計画であった。しかし、解析対象を絞り込むために、追加のプロテオーム解析(異なる動物種の血清を添加した培地で培養した際に虫体が発現するタンパク質の比較解析)を実施する等した。そのための試料の調製に時間を要する等したため、予定していた計画の一部を実施するに至らなかった。その一方で、以降の研究計画を効果的に遂行する上で、有用な情報が得られたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究実施期間中に実施したプロテオーム解析により得られたデータ等を基に、メタサイクリック型から血流型への細胞分化に関連する分子の候補を選別する。また、T. congolenseの血流型の細胞接着は、細胞分化に伴い現れる表現型であり、虫体の増殖や病態に関与することが示唆されている。そこで、分化誘導に伴い発現が開始・増加するタンパク質の中から、細胞接着に関与すると予想されるタンパク質や細胞表面への局在が予想されるタンパク質を選別し、本研究の解析対象とする。候補となる分子の遺伝子クローニング、局在解析・発現パターン解析等の分子性状解析、生物機能解析等を実施する。
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Causes of Carryover |
本研究実施期間中は、分化誘導下の虫体のプロテオーム解析を中心に実施した。当初計画していたタンパク質発現の経時的な変動の解析に加えて、今後の詳細な解析の対象とする候補分子を絞り込むために、追加の解析を実施するなどした。このため、当初の研究計画の一部を実施せず、それらのために計上していた予算を繰り越した。研究計画に大きな変更はなく、今後は、繰り越した予算を執行し、研究計画の円滑な遂行に努める。
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