2020 Fiscal Year Research-status Report
Risk and prediction of tick-borne diseases based on migration and dispersal of host animals
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20K07471
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
沢辺 京子 国立感染症研究所, 昆虫医科学部, 主任研究官 (10215923)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
駒形 修 国立感染症研究所, 昆虫医科学部, 主任研究官 (20435712)
糸川 健太郎 国立感染症研究所, 病原体ゲノム解析研究センター, 主任研究官 (70769992)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マダニ / 重症熱性血小板減少症候群 / 宿主動物 / 生息環境 / リスクマップ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はマダニ媒介ウイルスによる極めて重篤な人獣共通の新興・再興感染症としてのSFTSに注目し、自然界での感染環を推察し、ヒトの健康影響へのリスク評価ならびに発生予測に資することを目的としたものである。そのためには地球温暖化や気候変動の影響を直接受けると考えられるマダニとその宿主となる野生動物の分布、ならびにそれらの生息環境の変化との相互関係を解析する必要がある。具体的には、媒介節足動物(マダニ)、その宿主動物(イノシシ、シカ、ネズミ、アライグマ等)、環境要因(森林面積、人工林面積、農地、平均気温、年降水量等)、SFTS患者、SFTSウイルス等病原体情報の4つの要素を包括的に解析し、SFTSをはじめとするダニ媒介感染症発生のリスクマップ作製を行う。最終的にはそれら感染症の流行予測に貢献することを目標としている。本年度の成果は以下のとおりである。 1)これまでに調査した西日本のSFTS流行地と近隣の非流行地のマダニの生息環境を比較するために使用する地理情報システム(GIS)等の解析環境を整え、国土数値情報等のオープンデータや気温、降水量などの利用を可能とするように準備を進めた。 2)すでに登録されているSFTS患者および病原体の情報収集に努めたが、患者情報の入手が困難であったことから、十分な情報が得られなかった。しかし、複数のダニ媒介性ウイルスが検出されたことから、SFTS以外のダニ媒介感染症にも注目し、それら感染症の発生リスクの検討を試みる。 3)蚊類のゲノムDNA情報から広範な種に用いることができるSNP解析用のキャプチャープローブのデザインを行うインフォマティクスパイプラインを開発している。マダニ類については一年目で公開されているゲノム情報の収集と整理を行った。上記のパイプラインを改良したうえで最適なプローブのデザインを次年度以降行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度はCOVID-19感染拡大により、予定した野外調査が実施できなかった。また、本課題に参加している研究者はCOVID-19対応への従事が求められたため、本課題を遂行するための十分な時間的余裕がなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度もCOVID-19の流行が継続しているが、状況が改善すればできるだけ早く野外調査を行い、マダニの捕集ならびにマダニ由来病原体の検出を進める。現状では、これまでに収集したマダニおよびマダニ由来ウイルスの情報を解析することに努める。SFTS患者情報の入手も時期続き試みるが、国立感染症研究所所管のNECID情報が使用できなければ、各自治体への情報提供の協力依頼も検討する。
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Causes of Carryover |
COVID-19の感染拡大により予定した野外調査ができなかった。2021年度以降に調査を予定し、また、論文作成時の英文校正等に使用する。
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