2020 Fiscal Year Research-status Report
真菌細胞壁キチンによるアレルギー性炎症の発症機序の解明
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20K07476
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
村長 保憲 千葉大学, 真菌医学研究センター, 特任助教 (10574668)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | キチン / LdpA / アレルギー / 真菌 / 糖鎖 / Aspergillus fumigatus |
Outline of Annual Research Achievements |
キチンは真菌細胞壁を構成する主要な多糖のひとつであり、古くからアレルギー反応に関与していると考えられてきた。近年、キチンによるアレルギー反応の発症機序は徐々に解明されつつあるが、その全容は未だ明らかにされていない。我々はこれまでにAspergillus fumigatusのキチン結合性細胞壁タンパク質LdpAと小粒子キチンの複合体(LdpA/キチン複合体)をマウスに経鼻投与するとアレルギー性炎症が強く誘導されることを明らかにした。また、LdpAはO-結合型糖鎖で修飾された糖タンパク質であり、マウス骨髄由来樹状細胞がこの糖鎖を認識することによりLdpA/キチン複合体を貪食することを突き止めた。 2020年度はDectin-2-NFAT-GFPレポーター細胞を用いてLdpAがC型レクチン受容体Dectin-2の新規リガンドであることを明らかにした。また、Dectin-2ノックアウトマウスの骨髄由来樹状細胞ではLdpA/キチン複合体の貪食が低下しており、炎症性サイトカインTNF-αの産生誘導も低下していることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の大きな目標の一つであったLdpAの糖鎖を認識する受容体を同定することに成功した。もう一つの目標であるキチン受容体の同定には至っていないが、おおむね順調な進捗状況であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
LdpAが糖タンパク質であり、その糖鎖がマウス骨髄由来樹状細胞に認識されることを示したが、糖鎖の同定には至っていない。そこで質量分析によるLdpAの糖鎖構造解析と組成解析を実施しLdpAの糖鎖の同定を試みる。また、キチンおよびLdpA、LdpA/キチン複合体をそれぞれ貪食したマウス骨髄由来樹状細胞に共通して発現が上昇している受容体遺伝子をRNAseq解析により探索し、キチンによる免疫応答に関与している分子の同定を試みる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響によりRNA-seqの外部受託解析ができなかったため、次年度使用額が生じた。2021年度に外部受託解析を実施する予定である。
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