2022 Fiscal Year Research-status Report
真菌細胞壁キチンによるアレルギー性炎症の発症機序の解明
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20K07476
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
村長 保憲 国立感染症研究所, 真菌部, 主任研究官 (10574668)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | キチン / LdpA / 糖鎖 / Dectin-2 / IL-1α / アレルギ- / Aspergillus fumigatus |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまでにAspergillus fumigatusのキチン結合性細胞壁タンパク質LdpAと小粒子キチンの複合体(LdpA/キチン複合体)をマウスに経鼻投与すると気道のアレルギー性炎症が強く誘導されることを明らかにしてきた。また、LdpAはO-結合型糖鎖で修飾された糖タンパク質であり、Dectin-2によって炎症性サイトカイン/ケモカインを強く誘導することを示した。本年度は、Dectin-2ノックアウトマウスにLdpA/キチン複合体を経鼻投与し、気道のアレルギー性炎症の解析を行った。LdpA/キチン複合体を投与したDectin-2ノックアウトマウスでは、肺胞気管支洗浄液中のCXCL1および血清中のLdpA特異的IgEが有意に低下していた。また、LdpA/キチン複合体を投与したマウスの脾細胞をLdpAで再刺激したex vivo実験では、培養上清中のIL-4およびIL-5がDectin-2ノックアウトマウスでは有意に低下していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はDectin-2ノックアウトマウスを用いた動物実験により、LdpA/キチン複合体による気道アレルギー性炎症にDectin-2が関与していることを明らかにすることができた。Dectin-2はα-マンナンを認識する受容体であるため、LdpAのO-結合型糖鎖はα-マンナンで構成されていることが示唆されたが、当初予定していた糖鎖の構造解析は実施することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに行ったマウス骨髄由来樹状細胞(BMDCs)を用いたin vitro実験で、LdpA/キチン複合体による炎症性サイトカインの産生誘導に、Dectin-2のみならずIL-1αも関与していることを明らかにした。今後、LdpA/キチン複合体による気道アレルギー性炎症にIL-1αが関与していることを、動物実験により実証していきたい。
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Causes of Carryover |
糖鎖の構造解析ができなかったため、次年度使用額が生じた。2024年度に糖鎖の構造解析を実施する予定である。
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