2023 Fiscal Year Annual Research Report
真菌細胞壁キチンによるアレルギー性炎症の発症機序の解明
Project/Area Number |
20K07476
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
村長 保憲 国立感染症研究所, 安全実験管理部, 主任研究官 (10574668)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | キチン / LdpA / 糖鎖 / Dectin-2 / IL-1α / アレルギ- / Aspergillus fumigatus |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまでにマウス骨髄由来樹状細胞(BMDCs)が小粒子キチンを貪食すると細胞死が誘導され、代表的なアラーミン分子であるIL-1αが細胞外に放出されることを見いだしてきた。また、小粒子キチンをマウスに経鼻投与すると、肺胞気管支洗浄液中のLDH、IL-1αおよび好中球数が増加することを明らかにしてきた。さらに、BMDCsの細胞表面に発現しているDectin-2受容体がLdpAの糖鎖を認識することによりLdpA/キチン複合体の貪食が強化されることを示した。本年度は、野生型マウスおよびDectin-2ノックアウト(KO)マウスにLdpA/キチン複合体を単回経鼻投与し、好中球性気道炎症へのDectin-2受容体の関与を調べた。その結果、Dectin-2 KOマウスでは野生型マウスと比較して肺胞気管支洗浄液中の好中球数が有意に減少していた。一方、肺胞マクロファージ数の減少は野生型マウスに比べてDectin-2 KOマウスでは抑制されていた。また、肺胞気管支洗浄液中のTNF-α、IL-1αおよびKC/CXCL1はDectin-2 KOマウスでは有意に低下していた。これらの結果からin vivoにおいてもDectin-2受容体がLdpAの糖鎖を認識することによりLdpA/キチン複合体の貪食が強化され好中球性気道炎症を増強していることが示唆された。また、本年度までの研究成果をまとめた論文がPLOS Pathogens誌に掲載された。
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