2020 Fiscal Year Research-status Report
小児下痢症患者から分離されたプロビデンシア属菌の病原性解析
Project/Area Number |
20K07483
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
山崎 伸二 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (70221653)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日根野谷 淳 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (20548490)
畑中 律敏 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 客員研究員 (20803745)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Providencia / CDT / 3型分泌装置 |
Outline of Annual Research Achievements |
小児下痢症患者便からProvidencia rustigianiiを分離し、cdt遺伝子に加え3型分泌装置(T3SS)に関わる遺伝子をプラスミド上(pT3SS)に、またもう1つ別のT3SSに関わる遺伝子を染色体上(cT3SS)に見出した。本研究では、これらcdtやT3SSに関わる遺伝子が菌種特異的に存在するのか、あるいは特定の株にのみ存在するかについてP. alcalifaciens 50株、P. rustigianii, 11株, P. rettgeri 40株. P. heimbachae 1株及び P. stuartii 12株の合計114 株のProvidencia属菌を用いて、それぞれに特異的な遺伝子プローブを作製し、DNAハイブリダイゼーション法により調べた。その結果、cdt遺伝子は既に明らかとなっていた4株のP. alcalifaciens でのみ陽性となった。興味深いことにpT3SSに特異的な遺伝子はcdt遺伝子陽性の株でのみ陽性となったが、cT3SSに特異的な遺伝子は全てのProvidencia属菌で陽性となった。さらに、S1ヌクレアーゼでプラスミドを1本鎖としパルスフィールドゲル電気泳動で解析後、サザンハイブリダイゼーションで調べた結果、cdt遺伝子とpT3SSに特異的な遺伝子は同じプラスミド上に存在することがわかった。以上の結果より、cdt遺伝子とpT3SSに特異的な遺伝子を持つプラスミドがProvidencia属菌の病原因子として重要であることがわかった。一方、福井県で集団食中毒の原因となったP. alcalifaciens は、cdt遺伝子を保持していないことからpT3SSに特異的な遺伝子を保持していない可能性があり、Providencia属菌の病原性はcdt遺伝子やT3SSの遺伝子を含めこの病原プラスミド以外にも存在する可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の流行により、研究を予定通り行うことができなかった
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、COVID-19の状況が良くなることを期待し、研究を加速していく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の流行で研究を予定通り進めることができなかったため、予定していた消耗品の購入ができなかった。次年度は、研究を加速していくため当初予定していた消耗品を購入する予定である。
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