2021 Fiscal Year Research-status Report
非共有結合性阻害剤の探索を目的としたペニシリン認識酵素のX線結晶解析
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20K07484
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Research Institution | Josai International University |
Principal Investigator |
額賀 路嘉 城西国際大学, 薬学部, 教授 (20251150)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 抗生物質耐性 / カルバペネマーゼ / メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 / X線結晶解析 / β-ラクタマーゼ / ペニシリン結合タンパク質 / 薬剤耐性 / ARM |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度に行った研究の成果をそれぞれのパートに分けて記す。 MRSA由来PBP2aの構造解析: MRSA由来のPBP2aのタンパク質発現、精製、結晶化、予備的なX線回折実験を行った。昨年度まで、PEG-MMEを沈殿剤として利用した条件を最適化する方向でスクリーニングを行ってきたが上手くいかなかった。再度、一からスクリーニングを行い、PEG1000を沈殿剤として利用し、これに対してバッファーや塩濃度、添加剤を最適化することによって、2.1Åの回折データセットを得ることができた。P21空間群に属し、非対称領域に2分子のPBP2aを含まれることを確認した。既にPDBデータベースに登録してある程度の質を確保できたが、クライオプロテクタントの最適化などを行い更に高解像度を目指す。 Serカルバペネマーゼの変異体解析:Burkholderia種が産生するPenAのR220A変異酵素の論文が受理されたことは昨年度報告した。21年度4月には発表され、これに伴い、Protein Data Baseに7D5Jの構造が登録された。また、21年度はS70GとE166A, Dの変異酵素の解析を進め、S70Gの構造解析部分に関しては終了、分子動力学計算を行いたい。E166変異酵素に関してはその挙動にこれまでの報告とは異なる新しい知見を得たので、さらに解析を進める。 PBPとカルバペネマーゼの阻害剤複合体解析と阻害剤探索:Burkholderia種の産生する PenIカルバペネマーゼとTaniborbactamとの複合体のX線結晶解析をおこなった。論文を報告書の形で阻害剤提供元に提出し、投稿直前の状況になっているが、Taniborbactamの提供元より、医薬品としての申請の関係で発表が延期されている。これが解決次第、投稿したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
PBP2aの研究は当初は、1-2年の間に結晶構造を得る予定であったが、タンパクの量がとれないことと、既知の結晶化条件では良い結晶が得られなかったことが大きな原因である。21年度にはブレイクスルーがあり、予備実験では良好な結果がでている。しかし、高解像度の結果が得られているわけではないので、クライオプロテクタントの最適化などこれまでに行った以外の部分も丁寧に実験を進める予定である。 その一方で、カルバペネマーゼの変異酵素の解析と阻害剤複合体については時間的にやや遅れてはいるもののそれは、新しい知見も得られていることが理由のひとつであり、順調といっても差し支えない。R220A変異酵素については既に発表した。S70G変異酵素に関しては今後、分子動力学計算も合わせて発表に向けた研究を行いたい。また、E166変異酵素に関しては、様々な基質との複合体構造を明らかにしていく。 また、TaniborbactamのX線結晶解析及び、分子動力学計算による阻害メカニズムの検討に関しては、よい結果がでていると思うので、Taniborbactam開発企業からの許可が出次第発表をしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
遅れているPBP2aのプロジェクトにてこ入れを行う。高発現プラスミドの機能が不十分であることから、今後の研究、特にビアコアを利用した研究と阻害剤複合体を目指した研究を考え、再構築することを考える予定である。この内容は、申請時の研究実施計画にいれていたStreptmyces種のR61可溶性ペニシリン結合タンパク質の研究を一時延期にして、優先的に取り組みたいと考えている。既にアポ酵素の構造にはめどがついているので、年度内、分子動力学計算も含めた報告ができるように努力したい。 Serカルバペネマーゼについては、既に述べたように、順調に推移しているので今後、さらなるX線結晶解析、分子動力学計算、論文発表にまで進める。特にSerβラクタマーゼのプロジェクトにおいては、分子動力学計算を行う必要性がある。このため、研究室の計算機環境だけではなく、分子科学研究所の計算機センターのリモート利用の申請を行い、受理されている。
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Causes of Carryover |
PBP2aの結晶化が遅れているため、ビアコアを利用した結合解析をするための予算、サンプルを得るための発現ベクターを作る予算を、繰り越している。できれば今年もしくは来年度には利用する予定があるため許可いただきたい。
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Research Products
(3 results)