2021 Fiscal Year Research-status Report
機能改変酵素を用いた革新的真菌感染症診断法の実用化開発
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20K07487
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
山中 大輔 東京薬科大学, 薬学部, 助教 (70734599)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | β-1,6-グルカン / β-1,6-グルカナーゼ / β-D-グルカン / 深在性真菌症 |
Outline of Annual Research Achievements |
化学発光基質を用いたβ-1,6-グルカン高感度測定法と様々な多糖検体との反応性を評価し、真菌感染症以外の血清において偽陽性反応が生じる可能性を検証した。本測定法は過去に日本で医療用途に用いられたβグルカン製剤のうち、スエヒロタケ由来のシゾフィラン(SPG:モノグリコシルβ-1,6-/β-1,3-グルカン)とは反応性を示さなかったが、カワラタケ由来のクレスチン(PSK:βグルカン-タンパク質複合体)と僅かに反応した。従って、免疫賦活作用を目的として一部のβグルカン製剤を使用した場合には偽陽性反応が生じる可能性が示された。構造の異なるβ-グルカンとして、植物由来β-グルカン、細菌由来β-グルカンには反応しないことを確認した。一方、食品にも利用される酵母由来β-グルカンとは反応性を示した。また、臨床で利用されるβ-D-グルカン試験は、免疫グロブリン製剤(IVIG)と反応性を示すが、pH調整後のIVIGはβ-1,6-グルカン特異的プローブと反応しないことを確認した。これらの結果より、従来のβ-D-グルカン試験に比べて、β-1,6-グルカン高感度測定法が真菌由来βグルカンに対する反応特異性が高いことが示された。 また、マウスにおけるβグルカンの体内動態に関する検証を進め、β-1,6-グルカンの静脈内投与では、分子量の違いにより臓器への分布が異なることを明らかにした。一方、β-1,6-グルカン構造を持たない、異なる構造のβグルカンを経口摂取させ、既存のβグルカン測定Kitを用いて臓器への分布を検証したところ、臓器からβグルカンは検出されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に生じた遅れはおおむね改善し、効率よく検証を進めることが出来ている。一方、β-1,6-グルカン以外のβ-グルカンを検出するツールについて、従来法(既製品)では検出感度が不足している可能性もあり、多糖の構造と体内動態の相関について十分な考察が出来ず試行錯誤を繰り返している。従ってマウスを用いた検討項目の一部は、予定よりも時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は主にマウスを用いて、多糖類の体内動態を解析する。β-1,6-グルカンについては詳細な解析が実施できているが、構造依存性を考察するうえで、β-1,6-グルカン以外の多糖について高感度に検出するツールが不足している。多糖類の体内動態を詳細に評価し、かつ比較出来るようにするため、期間内に新たなツールを調整し、構造-活性相関も明らかにする。
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Causes of Carryover |
研究計画の最終年度に予定しているマウスを用いた検証項目では、比較的費用を必要とするため研究予算を繰り越した。当初の計画通り、生体の購入費用、消耗品購入費用として使用する予定である。
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Research Products
(10 results)