2020 Fiscal Year Research-status Report
トリアセチルフサリニンCで見いだされた鉄イオン獲得以外の新たな機能
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20K07492
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
豊留 孝仁 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (90422245)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川合 佑典 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教 (10709546)
久保田 彰 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (60432811)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アスペルギルス・フミガツス / シデロフォア / トリアセチルフサリニンC |
Outline of Annual Research Achievements |
アスペルギルス・フミガツスはヒトや動物に対して病原性を示し、真菌症の一つ、アスペルギルス症を引き起こす。アスペルギルス・フミガツスの病原性を明らかにすることやその基礎的な知見を積み上げることが、感染予防対策立案や検査・診断法開発、新規治療薬創薬といった形でアスペルギルス症克服につながると期待される。 本研究ではアスペルギルス・フミガツスが産生する金属イオンキレート化合物(シデロフォア)であるトリアセチルフサリニンCに注目して研究を進めている。この化合物はアスペルギルス・フミガツスがヒトや動物に感染したときに周囲環境から鉄イオンを獲得するために非常に重要であり、その感染成立に重要な役割を果たしていると考えられている。また、本来の生息環境中においても重要な役割を果たしていると考えられている。この化合物はアスペルギルス・フミガツスで生合成される。生合成に関わるタンパク質の中でもSidIというタンパク質を欠いているとトリアセチルフサリニンCが作られなくなる。また、MirBというタンパク質は鉄イオンと結合したトリアセチルフサリニンCを菌体内に取り込む機能を持つと考えられている。 これまでにSidIタンパク質もしくはMirBタンパク質を欠いているアスペルギルス・フミガツスを準備して研究を進めた。その結果、これまでにすでに知られている鉄イオン獲得についての重要な機能を確認できたとともに、鉄イオン以外の有害金属イオンへの抵抗性に関与していることを示唆する結果が得られた。現在、トリアセチルフサリニンCを入手して検討をさらに進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
sidI遺伝子破壊株およびmirB遺伝子破壊株を用いた解析を進め、有害金属イオン1種に対して先行していた予備検討の結果を支持する結果が得られた。また、トリアセチルフサリニンCを使用した検討も順調に解析が進んでいる。この過程で、予想していなかった予備的結果も得られており、この点についても追加して検討を進める予定である。また、現在、毒性学の専門家とも議論を進め、共同で検討を進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、分担研究者と協議を進め、他の有害金属イオンについても検討を進めようとしている。また、これら有害金属イオンとトリアセチルフサリニンCとの結合についても分析学の専門家と共同で研究を進めていく方針である。
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Causes of Carryover |
当該年度の研究自体は十分な進捗が得られたが、一部研究内容について次年度の実施となり、その消耗品費を繰り越した。また、コロナ禍により、出張を伴う学会出席・発表等がなくなり、その支出額が小さくなった。さらに、研究を補助する学生等への謝金もこの状況下で小さくなった。これらの影響により、次年度使用額が生じた。現況が改善することにより、今年度使用を見込んでる。
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