2021 Fiscal Year Research-status Report
侵襲性カンジダ症原因菌の強酸(胃酸)耐性を担う新規遺伝子群の機能解析
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20K07494
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
高橋 梓 千葉大学, 真菌医学研究センター, 技術職員 (20607949)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 酸耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫抑制を伴う高度医療には常に感染症への対策が必要とされる。表皮や腸管粘膜の常在菌である病原性酵母C. glabrataは、免疫抑制を伴う治療により侵襲性カンジダ症を引き起こす。C. glabrataの特性として酸耐性機構があり、pH2の強酸条件化においても増殖可能であるが、その分子メカニズムは明らかになっていない。申請者はこれまでに、所属研究室の所有するC. glabrata遺伝子欠損株ライブラリーを用いて酸耐性遺伝子のスクリーニングを行い、RIM101遺伝子が強酸耐性に関わり、マウス胃内での生存に重要であることを明らかにした。RIM101経路は、パン酵母およびCandida albicansにおいて、アルカリ条件に応答して転写因子Rim101タンパクを限定分解し活性化する経路として知られているが、RIM101欠損株のRNA-seqの結果から、C. glabrataにおいてRIM101経路上に位置し、強酸耐性を制御する遺伝子群は、アルカリ耐性と一部異なることを示した。そこで本研究では、これらの遺伝子群がどのようなカスケードにのっとり、どのような機能をもって強酸耐性を担っているのか?について詳細な解析を行う。 本年度は引き続きセンサータンパク群の特定について実験を行った。欠損株ライブラリーのスクリーニング及びRIM101欠損株におけるRNA-seqの結果より、Rim101p上流に位置すると同定されたの遺伝子のうち(2171遺伝子の一部)、Gene Ontology解析により細胞膜および細胞壁に局在することが予測された249遺伝子を対象とする。これらの遺伝子欠損株について、タグ付き Rim101タンパクの活性化有無をウエスタンブロッティング法により確認する。GFPタグをつけた目的遺伝子が膜に局在するものを選抜する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度作成したタグ付き Rim101タンパクで活性化有無をウエスタンブロッティング法により確認したが、系がうまく働いていないことが分かったたため、タグを変更して再度ウエスタンブロッティングを行っている。一方で、目的の遺伝子がコードするタンパクが細胞膜に局在するかどうかを確かめるため、GFPタグ付きタンパクを発現する株を作成し、上述の実験に先立って、細胞膜に局在するタンパクを選抜した。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに作成したウエスタンブロッティングの系を進めるとともに、論文執筆を行い、年度内の投稿を目指す。
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Causes of Carryover |
ウエスタンブロッティングの滞りにより計画に遅れが生じており、次年度続きの研究を行うため
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