2021 Fiscal Year Research-status Report
Involvement in the pathogenic mechanism of Streptococcus pyogenes-derived extracellular vesicles
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20K07495
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村瀬 一典 京都大学, 医学研究科, 助教 (40710869)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊地 泰生 宮崎大学, 医学部, 准教授 (20353659)
相川 知宏 京都大学, 医学研究科, 助教 (70725499)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 細胞外小胞 / 細胞傷害性 / 免疫応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、「EVに内包されるタンパクの網羅的な同定」及び、「in vitroでのEVの細胞傷害性と免疫応答の検討」の2つの研究項目について実施した。 まず、EVに内包されるタンパクの網羅的同定のため、劇症型・非劇症型由来の臨床分離株について、ショットガンプロテオーム解析を行い、それぞれに共通もしくは特異的なタンパクを同定した。その結果、劇症型株由来のEVsでは、56のタンパクが、非劇症型株由来のEVsでは、43のタンパクが同定され、そのうち38のタンパクは両者に共通するタンパク群であった。また、共通するタンパク群において、Streptolysin OやNAD-glycohydrolase、exotoxin type Aなど、病原性に寄与することが報告されているタンパクが見出された。さらにそれらタンパクの存在量を、劇症型・非劇症型由来の2群間で比較したところ、非劇症型株由来に比べ、劇症型株由来のEVsにおいて4-6倍高い存在量であることも明らかとなった。 次に、in vitroでのEVの細胞傷害性と免疫応答について、dTHP-1細胞を用いて、劇症型・非劇症型由来EVsの影響を確認した。まず、劇症型株由来のEVsは、dTHP-1細胞に添加後、4時間で非常に強い細胞傷害性(20%)を示し、また、その影響はEVsに含まれているStreptolysin Oによって引き起こされていることが確認された。一方、非劇症型株由来のEVsではStreptolysin Oが内包されているにも関わらず、劇症型株由来のEVsに比べ弱い細胞傷害性(3%)を示すのみであり、Streptolysin O非依存的な活性であった。免疫応答については、劇症型・非劇症型由来のEVともにIL-8, TNF-α, IL-1βの顕著な発現上昇が認められ、EVsが宿主細胞における免疫応答にも寄与していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画及び、実施状況に関しては、研究実績の概要に記載の通り、計画に沿った実験・解析の遂行と、研究成果が挙げられている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、EVsによる宿主細胞への影響について、単に細胞傷害性や一部の免疫関連遺伝子もしくは産生量の変動しか確認できておらず、EVsによる宿主細胞全体の影響を捉えることが出来ていない。 そのため、今後は、当初の計画通り、「in vivoでのEV活性と宿主側との相互作用」を進めるとともに、in vitroにおけるEVの影響をより詳細に明らかにするため、RNA-seq解析を行い、EVs暴露時における宿主細胞の遺伝子変動を網羅的に解析する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度予定していた研究分担者との打ち合わせに伴う出張をオンラインで実施したため、旅費として計上していた金額が次年度への繰越となった。そのため、繰り越し額分については、次年度実施予定である「in vivoでのEV活性と宿主側との相互作用」の実験に関連する消耗品に充当する予定である。
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Research Products
(2 results)