2022 Fiscal Year Research-status Report
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20K07500
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Research Institution | Kagawa Prefectural College of Health Sciences |
Principal Investigator |
末澤 千草 香川県立保健医療大学, 保健医療学部, 講師 (90331868)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 潤 香川県立保健医療大学, 保健医療学部, 教授 (90334276)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 緑膿菌 / Caco-2細胞層透過活性 / 腸管経由内因性血液感染 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究では、過去に申請者らが同定した緑膿菌のCaco-2細胞層透過活性に関与する遺伝子群を対象とし、これらの遺伝子群と緑膿菌の病原性との関連性について解析を行うことにより、緑膿菌による腸管経由内因性血液感染の予防につながる有力な因子(ターゲット遺伝子やターゲットタンパク質)を探索することを目的としている。 昨年度までに、解糖経路に関連する遺伝子について、遺伝子破壊株および遺伝子相補株を用いたCaco-2細胞層透過活性評価試験により、本遺伝子のCaco-2細胞層透過活性への関与を確認することができた。また、本遺伝子のCaco-2細胞層透過活性に解糖系オペロンが関与しているかどうかについて、オペロンを構成する遺伝子の破壊株を作製し検討を行った結果、解糖系オペロンが関与している可能性が示唆された。 本年度は、解糖経路に関連する遺伝子の遺伝子破壊株を用いて、緑膿菌の既知の病原性試験およびRNAを用いた網羅的遺伝子発現解析を行い、野生株と解糖経路に関連する遺伝子の遺伝子破壊株との比較検討を行った。その結果、RNAを用いた網羅的遺伝子発現解析において、両菌株の遺伝子発現に相違があることが明らかとなった。また、緑膿菌の上皮細胞層透過活性に関与する病原因子と関連する宿主因子候補の選定および宿主因子のノックアウト細胞の作製も引き続き試みている。 今後は、RNAを用いた網羅的遺伝子発現解析において、発現に違いがみられた遺伝子と解糖経路に関連する遺伝子のCaco-2細胞層透過活性との関連性に着目し検討を進める予定である。また、申請者らが同定した遺伝子群のうち生合成経路に関連する遺伝子群の解析および感染動物モデルを用いた感染実験についても計画を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
緑膿菌による腸管経由内因性血液感染機構について解析を進めていく中で、緑膿菌の上皮細胞層透過活性に関与する病原因子と宿主細胞側の宿主因子との関りについての検討を追加することとなった。昨年度に引き続き、宿主因子候補を選定し、ノックアウト細胞の作製を試みているところである。また、解糖経路に関連する遺伝子の解析を進めていく中で、Caco-2細胞層透過活性に解糖系オペロンの関与が示唆されたことから、これらの遺伝子の影響についても解析を進めることとなった。さらに、本年度行ったRNAを用いた網羅的遺伝子発現解析の結果から、発現に違いがみられた遺伝子と解糖経路に関連する遺伝子のCaco-2細胞層透過活性との関連性に着目した解析も進めることとなった。これらの理由から、申請時の予定よりやや遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに申請者らが同定したCaco-2細胞層透過活性に関与する21個の遺伝子のうち、解糖経路に関連する遺伝子について、解糖系オペロンの関与およびRNAを用いた網羅的遺伝子発現解析の結果も含めて解析を進めていく予定である。 また、本申請研究の申請時に計画していた病原性試験に加え、RNAを用いた網羅的遺伝子発現解析、緑膿菌の上皮細胞層透過活性に関与する病原因子と関連する宿主因子候補の選定、宿主因子のノックアウト細胞の作製、宿主因子ノックアウト細胞を用いた病原性試験および緑膿菌の上皮細胞層透過活性と宿主細胞の細胞死との関連性についての検討も行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
解糖経路に関連する遺伝子についての解析に時間を要し、着手予定であった生合成経路に関連する遺伝子群の解析および感染動物モデルを用いた感染実験がほとんど進んでいないため、使用額が予定額より少額となり、次年度使用が生じた。次年度は解糖経路に関連する遺伝子についての解析と並行してこれらの実験も進めていく予定である。
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