2020 Fiscal Year Research-status Report
病原性酵母クリプトコックスの病原因子としてのタンパク質マンノシル化機構の解明
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20K07501
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
清水 公徳 東京理科大学, 基礎工学部生物工学科, 教授 (40345004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 由巳 関東学院大学, 理工学部, 准教授 (50725124)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Cryptococcus neoformans / DBB染色 / 酵母 / 分類 / 病原性 |
Outline of Annual Research Achievements |
酵母とは真菌のうち出芽または分裂によって単細胞増殖を行うものの総称であり,系統的に子嚢菌と担子菌に分けられ,伝統的にはDiazonium Blue B(DBB)呈色法を用いて区別されてきた。つまり,DBB溶液に懸濁すると,担子菌類は暗赤色に呈色するが,子嚢菌類は呈色しない。これまでにglycosyl hydrolaseをコードする遺伝子GLH1とタンパク質O-マンノシル化酵素をコードする遺伝子PMT2がDBB呈色に必要なことが明らかにされてきたが,その機能の詳細は不明であった。本研究では,PMT2の有無によるGLH1の細胞内局在の変化について解明を目指して,まずC. neoformansのGLH1遺伝子破壊株(glh1Δ株)にGLH1遺伝子あるいはGFPをGLH1遺伝子の5’または3’に付加した融合遺伝子を導入した。その結果,得られたGLH1遺伝子のみを導入株ではDBB呈色陽性が回復したが,融合遺伝子導入株はDBB呈色反応陰性であった。また,GFPの蛍光も確認できなかった。融合遺伝子の転写は確認されたことから,翻訳段階に問題があることが考えられた。そこで,コドン使用頻度をC. neoformansに最適化したGFP遺伝子(CnGFP)を合成した。CnGFPをGLH1の5’または3’に付加した融合遺伝子をglh1Δ株に形質転換した。得られた形質転換株ではDBB呈色陽性が回復したことからGLH1が機能していることが確認できた。さらに,蛍光顕微鏡によりGFPの蛍光が確認できたことから,適切に翻訳されているものと考えられた。続いて,これらの融合遺伝子をPMT2破壊株(pmt2Δ株)および野生株に導入した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い,研究機関での研究時間が大幅に制限されるとともに,関連研究者との情報交換の機会が大きく失われたため,研究の進展に遅延が生じた。一方で,とくに消耗品の入手に時間が掛かったりコストが増大するといった予期不能の事態にも影響された。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度中に作製したコドン使用頻度をC. neoformansに最適化したGFP遺伝子(CnGFP)をGLH1の5’または3’に付加した融合遺伝子をglh1Δ株に導入した形質転換株(CnGFP-GLH1株あるいはGLH1-CnGFP株)に加え,これらの融合遺伝子をPMT2破壊株(pmt2Δ株)および野生株に導入する予定である。これらの株を用いてGLH1タンパク質の細胞内における挙動を観察することにより,PMT2によるタンパク質マンノシル化によってGLH1タンパク質が適切に細胞周縁部に配置されるかが解明されることが期待される。また,GLH1タンパク質以外のPMT2の標的タンパク質の同定を目指して,プロテオーム解析を実施したいと考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の拡大により研究の進展に遅延が生じたため,とくに必要な消耗品の購入に至らなかった。2021年度は遅延を回復するため,予定より多めの消耗品を購入予定である。
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Research Products
(1 results)