2022 Fiscal Year Research-status Report
肺常在性記憶免疫と好酸球様環状核球の連鎖反応は、肺真菌症ワクチンの作用に必要か?
Project/Area Number |
20K07507
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
上野 圭吾 国立感染症研究所, 真菌部, 主任研究官 (10550220)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肺常在性記憶Th2細胞 / 経鼻ワクチン / クリプトコックス症 / 肉芽腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
病原性真菌Cryptococcus gattiiは、健常人に感染しクリプトコックス症を引き起こす。これまでに我々は、肺常在性記憶Th2 細胞 (lung TRM2)を誘導し、クリプトコックス症の病態を改善する2種類の経鼻ワクチンを開発した。マウス感染モデルにおいて、ワクチン投与群の肺では、感染後に多核巨細胞を伴う肉芽腫が観察され、菌体を封じ込める病理像が観察された。肉芽腫には、IFNγなどのTh1サイトカインに依存する1型肉芽腫とIL-4などのTh2サイトカインに依存する2型肉芽腫がある。経鼻ワクチン投与群で感染後に見られる肉芽腫は、IFNγ欠損マウスでも野生型マウスと同じように観察され、IFNγ欠損マウスのワクチン投与群でも感染後の肺内菌数は有意に低下した。これは、経鼻ワクチンの生体防御作用が、IFNγに依存しないことを意味している。
多核巨細胞の形成にlung TRM2が関与するかを検証する目的で、lung TRM2とマクロファージを共培養し多核巨細胞の形成率を評価するin vitro実験系を立ち上げた。lung TRM2を抗原存在下でマクロファージと共培養すると、多核巨細胞が出現したが、抗原非存在下では多核巨細胞を認めなかった。非ワクチン群のT細胞は、抗原有無に関わらず多核巨細胞を誘導しなかった。この結果は、経鼻ワクチンが誘導するlung TRM2が、多核巨細胞の形成に関与することを示している。
肉芽腫形成や感染病態の改善に必要なTh2サイトカインも特定しており、これまでの研究成果を国際誌に投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1) 肉芽腫形成におけるlung TRM2の重要性を明らかにした。(2) 経鼻ワクチンによる感染制御機構に必要なTh2サイトカインを特定した。(3) ワクチンによる病態改善作用に、好酸球がどれほど関与するかについて、必要な情報を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
新しく樹立したlung TRM2とマクロファージの共培養系を用いて、lung TRM2由来の肉芽腫誘導に必要な因子を探索する。
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Causes of Carryover |
研究打ち合わせ、論文投稿の費用を支出する予定があるため。
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Research Products
(3 results)