2022 Fiscal Year Annual Research Report
Role of cGAS in bacterial virulence and antimicrobial resistance.
Project/Area Number |
20K07509
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
鈴木 仁人 国立感染症研究所, 薬剤耐性研究センター, 主任研究官 (70444073)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | cGAS / 薬剤耐性 / 病原性 |
Outline of Annual Research Achievements |
cGAS (cyclic GMP-AMP synthase) から合成されるcGAMP (cyclic GMP-AMP) は、原核細胞と真核細胞、即ち分類学上の生物界を超えてクロスキングダムな生物活性を有するセカンドメッセンジャーであることが明らかとなってきた。cGAMPは、細菌ではcGAMP結合エフェクターを活性化し、ファージ感染への防御など様々な生命現象に重要であること、また哺乳類細胞ではSTINGやRECONなどに結合してI型インターフェロン経路やNF-κB経路を活性化し、DNAに対する自然免疫応答に重要であることなどが示されてきた。本研究では、薬剤耐性化が国際的な問題となっているAcinetobacter baumanniiにおいて、超多剤耐性流行株が保持する薬剤耐性プラスミド上にコードされたcGAS様酵素に着目した。細菌cGASと薬剤耐性・病原性との関連性に焦点を置き、A. baumannii流行株にてcGAMP標的因子の網羅的同定と機能解析を行い、細菌cGASを介した生命現象の分子機構を明らかにすることを企図した。2022年度はA. baumannii流行株において、cGAMP標的遺伝子の欠損株、その相補株の作製を行い、野生株、cGAS欠損株、cGAS相補株のRNA-Seqによるトランスクリプトーム解析を行い、cGAMPの存在が遺伝子発現に与える影響を比較解析した。また、cGAMP標的タンパク質の精製を行い、cGAMPとの結合性を確認し、cGAMPとの結合がタンパク質の活性に与える影響を検討した。病原細菌において、菌株毎に保存性が異なるcGASは、菌株間の病原性の差違や菌株の地域・人種特異性などを説明することが可能な因子と考えられ、本研究から基礎細菌学と感染症起因菌の分子疫学の知見を結び付ける成果を得られた。
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Research Products
(16 results)