2021 Fiscal Year Research-status Report
ヒト化マウスを用いたハンタウイルス感染症の病態解析
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20K07510
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
清水 健太 群馬大学, 大学院医学系研究科, 講師 (20466840)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ハンタウイルス / 腎症候性出血熱 / 病態 / マウスモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
腎症候性出血熱はハンタウイルスの感染によっておこる重篤な熱性疾患である。その病態発現には免疫病原性が関与するとされるが、不明な点が多い。研究代表者はこれまでに、成熟マウスへの静脈内接種により患者と類似の腎臓の出血が起こる強毒株と、症状の認められない弱毒株を発見し、両株間でウイルス糖タンパク質Gnの細胞外領域の一つのアミノ酸のみが異なることを明らかにした。また、CD8陽性T細胞が病態発現に重要であることを明らかにした。GnはGcとともにウイルス粒子の外殻を構成するタンパク質で、主に宿主細胞への侵入に関与することから、侵入過程に何らかの違いが生じている可能性が考えられた。そこで、各種培養細胞での増殖性や指向性、細胞融合能を比較したが、大きな違いは認められなかった。ただ、感染細胞内のウイルスタンパク質の量は弱毒株の方が多い傾向が認められた。一方、感染マウス体内では、各種臓器で強毒株の方が増殖性が高く、ウイルスタンパク質の量が多く、細胞浸潤などの病変も強い傾向が認められた。特に、初期の肺と中期の肝臓で強毒株の増殖性が高く、肺炎や肝機能障害も認められた。ハンタウイルスは呼吸器を介して感染する。また、腎症候性出血熱では、腎臓の機能障害や腎出血のほか、呼吸器障害や肝機能障害も比較的高率に認められる。これらのことから、このマウスモデルは患者と類似のメカニズムで病気を起こしている可能性が考えられる。今後、腎臓に加えて、初期の肺や肝臓での免疫系や遺伝子発現の動態などを比較解析し、病態発現メカニズムの解明を試みる。また、ヒトへの外挿の可能性をヒト化マウスで検証する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
初年度以降、新型コロナウイルス感染症の流行の影響で、研究活動を縮小したことに加えて、2021年10月に北海道大学から群馬大学に異動し、研究再開のための準備や手続きに時間を要しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
実施予定であった内容を並行して実施し、遅れを取り戻すよう努める。
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Causes of Carryover |
初年度以降、新型コロナウイルス感染症の流行の影響で研究活動を縮小したことに加えて、2021年10月から北海道大学から群馬大学に異動し、研究再開の準備や手続きに時間を要しているため、次年度使用額が生じた。実施予定であった内容を並行して実施し、遅れを取り戻すよう努める。
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