2022 Fiscal Year Research-status Report
ヒト化マウスを用いたハンタウイルス感染症の病態解析
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20K07510
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
清水 健太 群馬大学, 大学院医学系研究科, 講師 (20466840)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ハンタウイルス / 腎症候性出血熱 / マウスモデル / 免疫系 / 好中球 |
Outline of Annual Research Achievements |
ハンタウイルスは病原性の高い出血熱ウイルスのひとつで、ヒトに腎症候性出血熱を起こす。研究代表者は、腎症候性出血熱のマウスモデルを開発し、ウイルス糖蛋白質の一つのアミノ酸の違いで病原性に違いが生じている強毒株と弱毒株を用いて、病態発現メカニズムの解析を行ってきた。これまでに、肺が強毒株の初期増殖の場として重要であることが示唆されている。この肺での高い増殖性は、肺組織自体が強毒株の増殖に適しているからなのか?それを確かめるため、マウス体内より肺の組織片を採取・培養し、ウイルスを接種し増殖性を比較した。その結果、培養液中のウイルスRNA量は両株間でほぼ同等で、組織中のウイルス蛋白質量は弱毒株の方が多く認められた。このことから、肺組織自体は両株の増殖に適した性質を備えていることが示唆された。ハンタウイルスは免疫系の細胞にも感染することが知られている。そこで、マウス体内から腹腔マクロファージおよび脾細胞を採取・培養し、ウイルスを接種し増殖性を比較した。その結果、これらの免疫系細胞内においても、弱毒株のウイルス蛋白質量が顕著に多く認められた。この感染細胞内でウイルス蛋白質を多く合成するという弱毒株の性質により、生体内では早期に免疫系が刺激され、全身性の協調的な作用により早期に感染の広がりが抑えられると推測される。一方で、強毒株は初期には免疫を逃れて感染を拡大し、その後激しく増殖して過剰な免疫応答を誘導して病気を起こすと推測される。しかし、どのような免疫系の動きが起きているのかその経過は明らかではない。そこで、全体の免疫系の動きについての情報を得るため、感染マウスの血中のリンパ球、単球、好中球の経時変化を比較した。その結果、強毒株感染マウスで発症時を中心に好中球の増多が認められた。今後、好中球の病態発現への関与の有無を検討する必要があると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
初年度以降、新型コロナウイルス感染症の流行の影響で研究活動を縮小したことに加えて、2021年10月に北海道大学から群馬大学に異動し、研究再開のための準備や手続きに時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
実施予定であった内容を並行して実施し、遅れを取り戻すよう努める。
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Causes of Carryover |
初年度以降、新型コロナウイルス感染症の流行の影響で研究活動を縮小したことに加えて、2021年10月から北海道大学から群馬大学に異動し、研究再開の準備や手続きに時間を要したため、次年度使用額が生じた。実施予定であった内容を並行して実施し、遅れを取り戻すよう努める。
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Research Products
(2 results)