2023 Fiscal Year Annual Research Report
単純ヘルペスウイルス遺伝子発現移行と再活性化機構の解析
Project/Area Number |
20K07511
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
丸鶴 雄平 東京大学, 医科学研究所, 助教 (50825750)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | HSV / ウイルス遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の対象である単純ヘルペスウイルスはヒトに感染すると神経に潜伏し、再活性化を繰り返すことによって終生に渡り疾患を引き起こし続ける。HSVは宿主細胞に侵入後核内で、前初期遺伝子、初期遺伝子、後期遺伝子という3種の遺伝子群をカスケード状に発現する。前初期遺伝子の発現はHSVのウイルス粒子中に含まれるVP16が前初期遺伝子群のプロモーターに結合し、活性化することによって引き起こされる。その一方で、前初期遺伝子から初期遺伝子以降の発現への移行機構については不明な点が多い。本研究の開始以前に、申請者らは感染細胞の遺伝子発現の不均一性からHSVの遺伝子発現制御機構を解明することを目的として、HSV感染細胞の1細胞RNA-sequenceを行った。その結果、特定の細胞内金属イオンがHSVの遺伝子発現の移行段階に関与していることが示唆されていた。本研究はHSVの遺伝子発現におけるこの細胞内金属イオンの役割について解析を行い、HSVの遺伝子発現移行機構を解明することを目的とした。令和2年度から令和5年度における研究によって、(i)当該細胞内金属イオンの枯渇時、HSV-1の遺伝子発現移行が阻害されること、(ii)当該細胞内金属イオンがHSV-1ゲノムにコードされるウイルス転写因子(Pr)のDNA結合能を正に制御する事、(iii)当該金属イオンによる活性制御に必要なドメインを消失させた変異Prを保持する組換えHSV-1は野生株と比較して培養細胞における子孫ウイルス産生量、及び遺伝子発現移行効率が低下すること、(iv)変異Prは感染細胞におけるウイルスDNA結合能が減弱していることが明らかになった。本研究で得られた結果から、当該金属イオンはPrのDNA結合能を制御し、HSV-1の遺伝子発現移行を正に制御することが示唆される。
|
Research Products
(6 results)
-
-
-
-
[Presentation] Dual Impacts of a Glycan Shield on the Envelope Glycoprotein B of HSV-1: Evasion from Human Antibodies In Vivo and Neurovirulence2023
Author(s)
Ayano Fukui, Yuhei Maruzuru, Shiho Ohno, Moeka Nobe, Shuji Iwata, Kosuke Takeshima, Naoto Koyanagi, Akihisa Kato, Shinobu Kitazume, Yoshiki Yamaguchi, Yasushi Kawaguchi
Organizer
47th International Herpesvirus Workshop
Int'l Joint Research
-
-