2023 Fiscal Year Annual Research Report
クリミア・コンゴ出血熱ウイルスの細胞侵入過程を要因とする病原性発現機序の解明
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20K07516
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
櫻井 康晃 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (00818338)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | CCHFV / シュードタイプウイルス / 複数のウイルス株 / 宿主細胞侵入 / 膜融合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、独自に開発したクリミア・コンゴ出血熱ウイルス(CCHFV)由来の表面糖タンパク質を高発現させる系を用いて、細胞侵入過程を要因とする病原性発現機序を解明することを目指した。 【2023年度の研究成果】これまでにシュードウイルスを用いて同定したCCHFV侵入阻害剤の更なる解析を行った結果、Hoti株以外のCCHFVや近縁のハザラウイルス(HAZV)の表面糖タンパク質を持つシュードウイルス、及び野生型HAZVの感染も阻害した。更に、独自に開発した膜融合アッセイを用いて、それら化合物がCCHFVの膜融合を阻害することが分かった。また、CCHFVの表面糖タンパク質の性状解析を目的として、シュードウイルスに様々な外的刺激を加え、その感染性を評価した結果、CCHFVの表面糖タンパク質を持つシュードウイルスは酸性pHに対する耐性が極めて低いことが分かった。 【本補助事業期間全体を通じて実施した研究の成果】本研究により、Hoti株とはヒトへの病原性や感染性の異なるCCHFVの株やHAZVについて、シュードウイルスシステムを開発した。更に、上記の系を応用することで、CCHFVの表面糖タンパク質を介した膜融合を定量可能な系も確立した。それらを用いて、CCHFVの複数の株及びHAZVの細胞侵入を共通して阻害する化合物を複数同定し、それらの作用機序が膜融合阻害であることを見出した。これらアッセイ系や同定した侵入阻害剤は、今後CCHFVの細胞侵入メカニズムを解析する上で有用である。更に本研究を通じて、CCHFVとHAZVの中和抗体への感受性の違いや、CCHFVとその他出血熱ウイルスとのpH感受性の違い等を明らかにした。これらの詳細な分子機序を今後解析することにより、表面糖タンパク質に依存したCCHFVの感染機序やそれに起因する病原性の解明に繋がることが期待される。
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Research Products
(4 results)