2022 Fiscal Year Research-status Report
サイトカイン分泌経路を逆利用したHIVタンパク質輸送と細胞間伝播
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20K07518
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
森川 裕子 北里大学, 感染制御科学府, 研究員 (20191017)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | HIV / Gag / サイトカイン / 輸送機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
【HIV-1増殖におけるSTX6の役割】HeLaおよび293T細胞ではSTX6ノックダウン(KD)によるHIV-1粒子産生抑制を既に確認している。また、HeLaおよび293T細胞ではHIV-1 Gagタンパク質とSTX6の共局在および共輸送も既に確認している。これらを免疫細胞で調べた。STX6 KD/ノックアウト(KO)の免疫細胞(JurkatおよびU937細胞で)はHIV-1複製が抑制された。またこれらのSTX6 KD/KO細胞ではHIVの粒子形成も抑制された。免疫細胞(U937とTHP-1細胞)ではGagタンパク質とSTX6の共局在が観察された。 【TNFa輸送と分泌】免疫系細胞(Jurkat、U937、THP1細胞)では、HIV-1感染によりTNFa分泌が増加した。ところが、STX6を欠損させるとHIV-1感染によるTNFa分泌増加は認められなくなった。蛍光タンパク質で標識したGag、TNFa、STX6を用いてこれら3つの共局在と、Gag-STX6、STX6-TNFa、Gag-TNFaの共輸送を明らかにした。 【Gag、STX6、TNFaの相互作用】Gag-STX6の直接結合(Gag MAの第5ヘリックスとSTX6 SNAREドメイン)、STX6とTNFaの直接結合(STX6 C末端とTNFa細胞質尾部)が示された。Gag-TNFaは直接結合しなかった。 【感染シナプス】免疫細胞ではSTX6およびTNFaは形質膜全体に局在した。シナプス極性輸送は観察できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【免疫細胞】T細胞系(Jurkat細胞)を用いる予定であったが、TNFaはマクロファージからより分泌されるため、単球系(U937, THP-1細胞)を用いることに変更した。 【TNFa局在】免疫系細胞(Jurkat、U937、THP1細胞)では、HIV-1感染によりTNFa分泌が増加した。免疫細胞(U937とTHP-1細胞)を用いて内在性TNFaの局在が観察できた。従って、誘導型の蛍光タンパク質標識TNFaの発現細胞は樹立しないことにした。免疫細胞での生細胞イメージングはできないが、樹立できても得られる情報が少ないため。 【Gag、STX6、TNFaの相互作用】Gag-STX6の結合部位(Gag MAの第5ヘリックスとSTX6 SNAREドメイン)、STX6とTNFaの結合部位(STX6 C末端とTNFa細胞質尾部)が特定できた。 【感染シナプス】TNF1aはシナプス極性に輸送されない可能性が示唆された。さらに確認し決定する予定。
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Strategy for Future Research Activity |
【Gag-TNFaの相互作用】Gag-TNFaの間接的な相互作用(STX6を介する)を明らかにするため、MA欠損GagによるTNFa分泌を解析する。また、Gag発現によりTNFa分泌が増加するかを 【TNFaによる標的細胞の誘引】感染細胞からの産生されるTNFaにより標的細胞が誘引されるかを、transwellを用いたtransmigration assayとタイムラプスで解析する。
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Causes of Carryover |
コロナの影響でHIV抗原定量ELISAキットの製造が遅れており、入手に時間がかかった。従って、論文投稿も遅れ、今年度内での論文掲載料が発生せず、次年度に繰り越しとなった。
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