2020 Fiscal Year Research-status Report
タンパク質“自己結合”システムを用いた多機能型ウイルス様中空粒子ワクチンの開発
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20K07524
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
竹内 薫 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (00192162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中平 洋一 茨城大学, 農学部, 准教授 (40423868)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ウイルス様中空粒子 / VLP / ワクチン / 大腸菌 / バキュロウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
いくつかの小型球形RNAウイルスのコートタンパク質のcDNAを大腸菌あるいはバキュロウイルス/昆虫細胞発現系を用いて発現させることにより、ウイルス様中空粒子を作成することができた。ウイルス様中空粒子を形成していることは透過型電子顕微鏡あるいはシュークロース密度勾配遠心により確認した。EGFPあるいは異種ウイルスの抗原を提示したウイルス様中空粒子を作成することも出来た。予備実験として、異種抗原を提示したウイルス様中空粒子をマウスに2回、腹腔内接種し血清を採取したところ、血清中に異種ウイルス抗原に対する高いELISA抗体値と異種ウイルスに対する高い中和抗体値を検出することができた。 一方、マイナス一本鎖RNAウイルスでありエンベロープを有するパラインフルエンザウイルスのウイルス様中空粒子形成についても解析を進め、牛パラインフルエンザウイルス3型のMタンパク質を哺乳動物細胞内で単独発現させるだけでウイルス様中空粒子が形成されることを見出した。また、Mタンパク質のN末端の10アミノ酸とC末端4アミノ酸がVLP形成に重要であること、Mタンパク質中にあるYLDV配列(細胞の小胞輸送に関与するESCORTが認識するlate (L) 配列に類似している)がVLP形成に重要であることを見出した。この結果は近縁のウイルスであるヒトパラインフルエンザウイルス3型のMタンパク質の特徴と非常に異なっている。ヒトパラインフルエンザウイルス3型のMタンパク質に関する結果を再検討する必要があるかもしれない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ウイルス様中空粒子を作成することができ、異種抗原を提示したウイルス様中空粒子を作成することができ、マウスに接種して異種抗原に対する抗体値を検出することができた。加えて、パラミクソウイルスのウイルス様中空粒子の形成に関しても結果を得ることが出来きた。したがって、おおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
予備実験で有望な結果が得られたのでマウスの頭数を増やし定量的な結果を得る予定である。また、他のウイルスのコートタンパク質を用いてウイルス様中空粒子が作成できるか、他の異種抗原(特にウイルスのエンベロープタンパク質)の提示が可能か調べる予定である。
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Causes of Carryover |
本度末にマウス接種実験を行う予定でいたがそこまでは進展しなかった。マウスに接種予定のウイルス様中空粒子の確認を行なったのち、次年度に実験を行う予定である。その際に繰り越した経費と次年度の経費をまとめ、ウイルス様中空粒子の作成に必要な培地、実験用マウス、免疫学的解析試薬などの購入に使う予定である。
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