2020 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of retrovirus reverse transcription mechanism regulated by integrase.
Project/Area Number |
20K07525
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
増田 貴夫 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (80219336)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | HIV / 逆転写酵素 / インテグラーゼ / 蛋白質 / 核酸 / 酵素 / レトロウイルス / ゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
1) rRTINの発現系の構築: pET47bRTINをRosetta(DE3)大腸菌株に導入し、0.1mM IPTG添加後18℃で20時間の培養により、可溶性分画からのrRTINの回収率が最大となり、本研究での至適条件として用いた。可溶性分画に抽出されたrRTINを Ni-agaroseカラム・陽イオン交換カラム等によりrRTINを精製した。精製rRTIN の分子量~98 kDa (p98)は、抗RT抗体と抗IN抗体に反応することを確認した。また、HIV-1プロテアーゼ処理により、66 kDa(p66)と51 kDa(p51)のRT産物および32kDa(p32)のIN産物の生成を確認した。以上より、精製された98 kDaのタンパク質(p98)は、RTとINが融合したタンパク質(rRTIN)であることが確認された。 2) rRTINの逆転写酵素活性:rRTINの逆転写酵素活性を無細胞逆転写アッセイ系{Huang, 2019 #32;Masuda, 2015 #2}により評価した。RTは、三つの酵素活性:RNA依存性DNAポリメラーゼ (RDDP)、RNaseH、DNA依存性DNAポリメラーゼ (DDDP)活性をを確認した。可溶性分画より精製されたRT-IN蛋白質を無細胞HIV逆転写アッセイ系(Masuda et al.,Sci. Rep. 2015)により機能評価したところ、rRTINはRTの三つの酵素活性;RNA依存性DNAポリメラーゼ活性(RDDP), RNase H活性, DNA依存性DNAポリメラーゼ活性(DDDP)を高く保持している事を確認した。rRT(p66)との比較解析より、IN融合によるRDDP活性の上昇効果を確認した。本結果は、INが、RTIN融合蛋白を介して逆転写反応の促進に直接関与し、RTとIN融合状態であることの酵素的優位性を示唆する結果と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)ゲノムRNAの逆転写過程におけるインテグラーゼ の機能解明に向け、HIV転写酵素(RT)とインテグラーゼ(IN)の融合蛋白質のリコンビナント蛋白質(rRTIN) の調整に着手し、精製度が不十分ではあるが、rRTIN蛋白質の大腸菌内での至適発現誘導と可溶化条件を決定し、不溶性および可溶性分画よりrRTINの部分精製産物を得た。不溶性分画からは機能を保持した蛋白質を精製することはできなかったが、可溶性分画より高い逆転写機能を保持したrRTINの部分精製産物を得た。本研究成果は、RTとの融合蛋白質を介したINの新たな機能解明に向けた基礎研究基盤を確立できた。以上より、研究計画は概ね順調に進展しているものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
Ni-アフィニティカラムおよび陽イオン交換カラムによる部分精製後、さらにゲル濾過蛋白質精製系を確立して、rRTIN蛋白質の精製純度を高める。これにより、RTIN蛋白質の基質となるウイルスRNAやdNTPへの親和性など生化学的特性を詳細に調べ、IN融合によるRT活性促進への具体的分子機構を探る。INの逆転写過程での未知機能に必須なアミノ酸残基 (Tyr15およびその周辺)の点変異を有するRTIN蛋白質も同様に調整し、比較解析する。これにより、本アッセイ系で得られたRT-IN蛋白質の特性とウイルス複製レベルでの影響との機能相関性が明らかとなり、INの逆転写過程での役割に関する分子機構の解明を目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症による外出自粛規制(約3ヶ月間)の為、一部の計画遂行が遅れた為。
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