2021 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of retrovirus reverse transcription mechanism regulated by integrase.
Project/Area Number |
20K07525
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
増田 貴夫 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (80219336)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | HIV / 逆転写酵素 / インテグラーぜ |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)ゲノムRNAの逆転写過程におけるインテグラーゼ の新規機能の解明に向け、HIV転写酵素(RT)とインテグラーゼ(IN)の融合蛋白質のリコンビナント蛋白質(rRTIN) を可溶性分画より逆転写酵素機能を保持したrRTINの部分精製産物を得た。しかしながら、大腸菌内で発現させたrRTINの大部分は不溶性分画に存在しており回収量が不安定であるのが問題点として浮上してきた。そこで、本年度は、不溶性分画からのrRTINの精製を尿素等の変性剤による可溶化と種々のリフォールディングにより試みた。不溶性分画には、純度の高いrRTINが大量に存在し、変性剤やアルギニン添加により可溶化には成功したものの、その後のリフホールディング及び最終イオン交換精製過程で再凝集し沈澱してしまい、酵素活性を維持したrRTINを得ることはできなかった。そこで、可溶性分画からの精製法の再至適化を試み、10% グリセロール添加により、界面活性剤を除去した状態でもRT単独よりも有意に高い逆転写酵素活性機能のRNA依存性DNAポリメラーゼ(RDDP)活性を保持したrRTINを精製することができた。 一方、ヒト細胞内で発現させたHalo-タグ標識タンパク質の細胞内イメージング解析により、ヒト細胞内で発現させたRTおよびRTINの細胞内局在性を比較した。その結果、RT単独の場合は大部分が細胞質に存在するが、RTINは核内局在を示すことが明らかとなった。本研究成果は、RTのRDDP活性の増強と核内局在の付与が、IN融合によるRT活性制御機構のメカニズムの一つとして考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)ゲノムRNAの逆転写過程におけるインテグラーゼ の機能解明に向け、大腸菌発現系によりHIV転写酵素(RT)とインテグラーゼ(IN)の融合蛋白質のリコンビナント蛋白質(rRTIN)の不溶性分画からの精製を種々の方法で試みたが、RT酵素活性を維持した状態でのrRTINの精製は極めて困難であることが判明した。一方、で可溶性分画からは、バッファー組成を工夫することにより、逆転写反応での酵素学的優位性を保持したrRTINを得ることができた。ヒト細胞内発現系による、RTINの細胞内局在性を調べた結果が、ヒト細胞内で発現させたRTINも不安定であったが、RTINの核内局在性を確認することができた。 以上より、研究計画は概ね順調に進 展しているものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の機能および構造解析に向けた可溶性分画からのrRTINタンパク質の精製には、可溶性を増強する因子の探索、IN点変異もしくは欠損変異導入等から、より安定性を維持した形でのrRTIN蛋白質の精製が今後の解析には不可欠と考えられる。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症による自粛規制及び一部の物品調達が遅れた為。
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Research Products
(7 results)