2022 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of retrovirus reverse transcription mechanism regulated by integrase.
Project/Area Number |
20K07525
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
増田 貴夫 東京医科歯科大学, 医学部, 准教授 (80219336)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | HIV / 逆転写酵素 / インテグラーぜ |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)ゲノムRNAの逆転写過程における逆転写酵素(RT)とインテグラーゼ(IN)の融合蛋白質(RTIN)のヒト細胞内発現系による細胞内局在及び大腸菌発現系によるリコンビナント蛋白質(rRTIN)を用いた機能解析を行った。ヒト細胞内ではRT単独で発現させると細胞質に分散されるが、INとの融合により核内に局在することを明らかにした。また、RTのdNTP基質親和性やRT阻害剤への薬剤抵抗性が、INと融合することにより有意に上昇することを明らかにした。一方、RTINのRT酵素活性には、IN阻害剤は影響しなかった。さらに、RTINの組み込み活性は、検出限界以下であったことから、INの酵素活性は、RTINのRNA依存性DNAポリメラーゼ(RDDP)活性には直接関与しておらず、INの酵素機能である組み込み反応には、INがRTから切断される必要があると考えられた。 rRTINの可溶性は極めて乏しく、56-212残基及び213-212残基がRTIN蛋白質の可溶性を規定しており、INはウイルスRNAやDNAに強い結合能を有していることから、合成HIV RNAやDNA断片を精製過程に添加して可溶性の向上を検討したが、顕著な効果は得られなかった。レトロウイルスの逆転写反応は、部分的に合成されたcDNA断片の転移反応が2回必要となりRT酵素活性のRNase H活性及びDNA依存性DNAポリメラーゼ(DDDP)活性に依存している。RTとRTINとの比較解析から、RNase H活性及びDDDP活性には有意な差は認められなかった。 以上、細胞に侵入したHIV逆転写複合体をINの特性である強い核局在能とdNTP基質親和性を高める効果により逆転写反応の促進に寄与することを明らかにした。また、逆転写反応と組み込み反応は、細胞核内で密に連結して遂行される必要があるものと推察された。
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