2023 Fiscal Year Annual Research Report
アイチウイルスゲノム複製部位のコレステロール蓄積に必要な宿主・ウイルス因子の解析
Project/Area Number |
20K07529
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
佐々木 潤 藤田医科大学, 医学部, 講師 (70319268)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アイチウイルス / ピコルナウイルス複製 / コレステロール / IFITM1 |
Outline of Annual Research Achievements |
アイチウイルス(AiV)を含むプラス鎖RNAウイルスは、感染細胞内輸送・代謝システムをハイジャックしてオルガネラ膜を再構成し、自身のゲノム複製の場となる複製オルガネラを構築する。ピコルナウイルスはウイルスタンパク質の他に特定の宿主タンパク質やPI4P,コレステロールなどの脂質を蓄積させ、ウイルスゲノム複製に適した環境を作り上げる。我々はAiVのコレステロール蓄積機構を解析している。本研究ではこれまでに、宿主タンパク質IFITM1がAiVタンパク質によりリクルートされ、エンドソームから複製オルガネラへのコレステロール輸送に関与していることを明らかにし、今年度、論文をPlos Pathogensで発表することができた。 また今年度我々は、脂質を含む物質の細胞内輸送に関与する宿主タンパク質の機能を阻害する薬剤Xが、AiVゲノム複製を阻害することを突き止めた。この薬剤Xの標的分子AをsiRNAでノックダウンすると、やはりAiVゲノム複製は阻害された。この標的分子Aは細胞膜やエンドソームに局在するタンパク質であるが、AiV感染によりその局在が変化し、細胞内に大きな集塊を形成することがわかった。さらに、この集塊にコレステロールが蓄積していることも明らかとなった。加えて、薬剤Xを含む複数の分子A阻害剤が、複製オルガネラへのコレステロール輸送を阻害した。これらのことは、分子AがAiVの複製オルガネラへのコレステロール輸送に関与する新たな宿主因子であることを示唆する。 以上のように、本研究において我々は、AiV複製オルガネラへのコレステロールの輸送に関与する複数の宿主タンパク質を同定することができた。
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