2020 Fiscal Year Research-status Report
Regulating inflammatory bowel disease by controling peripheral biological clock
Project/Area Number |
20K07535
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
折原 芳波 東京工業大学, 生命理工学院, 准教授 (60450623)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | IBD / 炎症性腸疾患 / ストレス / 免疫 / 腸内環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、既知のモデルを用いて末梢体内時計の観点から腸管免疫制御機構を明らかにすることを目的とし、まずは腸内ストレスの軽減がIBDの重症度に与える影響について検証を開始した。 有用食物繊維の摂取が腸内pHや細菌叢を整えることが明らかになって来ているため、マウスに有用食物繊維添加食の給餌をして、拘束ストレス負荷した際のマウスの腸内免疫に及ぼす影響について検証した。その結果、有用食物摂食群では対象食物繊維群ではストレス負荷により低下した糞便中IgAや無賃の濃度が高濃度を保てていることが確認された。すなわち、ストレスにより引き起こされる腸管免疫の低下を抑制することが確認できた。 そこで、既知の報告に基づきマウスを用いてストレスでIBD様症状が再発するモデルを作成し、有用食物繊維の摂食がIBDの重症度に与える影響を検証した。DSS飲水によりIBD様症状を誘発したマウスに回復期間を与えた後、有用食物繊維の摂食期間を設けて腸内環境を変化させたマウス群に、IBDの再発誘導を目的とする拘束ストレスを掛けた。その結果、IBD誘導群において体重の減少、腸の萎縮、血便スコアと糞便スコアの上昇などIBD様症状を認めた。更に、糞便中の酢酸、プロピオン酸、酪酸などの短鎖脂肪酸 (Short Chain Fatty Acids; SCFA)の有意な減少も検出した。食物繊維摂取に関しては、DSSによるIBD誘導期間中は両群で血便スコア、糞便スコアの上昇が見られたが、ストレスによる再発誘導期間には対象食物繊維群でのみ血便スコア、糞便スコアの顕著な上昇が確認された。サンプリングした腸や糞便の解析を現在も進めている段階である。 今後はこの上記サンプルの解析とともに腸内ストレスの軽減がIBDの重症度を軽減させるメカニズムについて、より詳しく追究していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請者は本課題申請直前に所属を移したが、共用のマウス飼育施設の仕様が前所属と大幅に異なり、実験体勢の変更を余儀なくされた。現在では研究室内にてマウスを解剖することも可能となり、体勢もすこしずつ整ってきており、実験ももう少しスムーズに進められるようになるのではないかと期待している。 また、実験室でヒトが密になりがちなマウス実験はコロナ禍において最善の実験手法とは考えられず、ヒト培養細胞を用いた実験系もスタートさせている。In vivoのマウスでは実現できない実験系をin vitroにて進めていくつもりである。
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Strategy for Future Research Activity |
腸内ストレスの軽減がIBDの重症度に与える影響」について、これまでの結果の再現性を検証すると同時に、採取済みの臓器および糞便サンプルを用いてメカニズムの追究を進める。 その一方、マウス飼育環境設備の仕様変更およびCOVID-19蔓延による実験系の見直しから、ヒト結腸上皮様細胞株 Caco-2およびHT29細胞を用いたin vitroの実験系を考えている。当初の予定では2番目に実施する予定だった「腸内ストレスの種類がIBDの重症度に与える影響」の検証よりも先に「末梢体内時計の乱れがもたらすIBDの重症度に与える影響」についての検証を開始する。細胞株を用いてIBD様炎症状態を再現し、末梢時計を乱すことにより、IBD重症化因子産生の増減について検証する。具体的には、タイトジャンクションや粘液を含む腸上皮バリア機能および炎症性サイトカインについて転写レベルで確認後、必要に応じてタンパク質レベルでの産生確認を行う。
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Causes of Carryover |
申請者は本課題申請直前に所属を移したが、共用のマウス飼育施設の仕様が前所属と大幅に異なり、マウス飼育施設の仕様制限が多くあることが判った。さらにCOVID-19蔓延の影響により実験体勢の変更を考える必要が出た。これら2つの理由から一部の実験が滞り次年度使用学が生じた。本研究において必要なマウス飼育を、共用施設を使用しなくとも研究室内で対応できるような体勢を次年度で整え、培養細胞を用いた実験系を取り入れながら、本課題のスムーズな遂行に努めるつもりである。 また、COVID-19蔓延措置として、各種学会もオンラインでの開催となり、旅費の経費が不要となったことも理由として挙げられる。
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