2021 Fiscal Year Research-status Report
全ての患者に適応可能な代謝産物を標的とする革新的がん免疫療法の開発
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20K07539
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
柴田 健輔 山口大学, 大学院医学系研究科, 講師 (50529972)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 晶 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (40312946)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ガン / 代謝産物 / 免疫療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 抗腫瘍効果に関わるMR1T細胞の同定と機能解析 : これまでにマウスMR1T細胞が認識する大腸ガン由来代謝産物として葉酸代謝経路の中間代謝物を同定した。そこで次にヒトMR1T細胞においても、その抗原を認識する細胞が存在するかを調べるために、同定した抗原を産生できない大腸ガン株を樹立し、親株とヒトMR1T細胞のクローン増殖を指標に比較することにした。そのクローン増殖を解析するためにシングルセル解析を行い、これまでにいくつかのヒトMR1T細胞クロノタイプを得ている。現在その細胞株を樹立し、マウスMR1T細胞と同様の反応性を示すのかを確認している。 2. 大腸ガンマウスモデルを用いた抗腫瘍活性の解析 : これまでに大腸ガンマウスモデルを用いた解析で、以前の報告と一致してMR1T細胞欠損下でガンの増大が促進された。先にMR1T細胞がガン部において疲弊していることが報告されており、実際に我々も疲弊マーカーであるPD1の発現上昇を認めた。そこで我々が同定した大腸ガン由来抗原を用いた治療を確立するため、疲弊を解除可能なanti-PD1抗体と併用することで抗ガン効果を調べた。その結果、これまでにその併用療法でガンの退縮を誘導できる可能性を示唆する結果を得ている。 3. in vitroにおける抗腫瘍活性測定法の確立 : 同手法の確立には、多くのMR1T細胞を必要とする。しかし生体から生成できる細胞数は限られていることから、通常のT細胞にMR1T細胞受容体の遺伝子をレトロウイルスを用いて導入する手法を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでに以下のことを明らかにした。このようにマウスMR1T細胞を用いた解析は順調に進んでいる。 1. マウスMR1T細胞が認識する世界初のガン代謝産物の同定 2. 大腸ガンマウスモデルを用いたガン代謝産物の抗ガン活性 一方ヒトの解析は、同定したガン細胞由来抗原に反応するMR1T細胞の同定法の確立に時間がかかったため、計画より遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は以下の基礎研究と臨床応用研究を進める。 基礎研究はin vitroでのマウス、ヒトMR1T細胞の抗腫瘍活性の解析を行う。 臨床応用研究は、1) ガン由来代謝産物を認識するヒトMR1T細胞の同定、2) MR1T細胞の人為的制御に基づく治療法の確立、3) ヒトMR1T細胞の抗腫瘍効果の検討を行う。2)に関しては、現在までにanti-PD1抗体と我々が同定した抗原の併用療法について、それらの濃度や治療時期の検討を行う。3)に関しては、ヒト大腸ガン移植マウスモデルを用いてanti-PD1抗体と同定した抗原の併用療法による治療効果の検討を行う。また、ヒトMR1T細胞の養子移入による治療効果も検討する。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの影響により、以下の2つの問題が生じた。 1. 予定していた学会参加が不可能となったことで旅費を使用することができなかった 2. 予定していた実験のための試薬等の納入が遅れ、令和3年度予定していた実験が令和4年度にずれ込んでいる これらの理由から次年度使用額が生じた。令和4年度は学会参加(EMBO workshop)と予定していた実験のために当該助成金を使用する。
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Research Products
(2 results)