2020 Fiscal Year Research-status Report
The role of DNA demethylase TET in Treg/Th17 differentiation.
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20K07541
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中司 寛子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (90749334)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | TET / DNAメチル化 / Th17細胞 / Tfh細胞 / 腸内細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
末梢でのT細胞分化におけるTETの機能解明のため、タモキシフェン誘導型T細胞特異的Tet2/3欠損マウス(iDKO)を作製した。本マウスをタモキシフェン投与することで、脾・リンパ節腫脹、Th17/Tfh様細胞増加等のT細胞特異的Tet2/3欠損マウス(DKO)と同様の病態を誘導できた。iDKOより単離したCD4+ T細胞をRag欠損マウスに移入後、タモキシフェン投与することでも同様の病態を再現でき、Tetは末梢T細胞において細胞増殖やTh17/Tfh様細胞への分化に重要な働きをすることが明らかとなった。また、タモキシフェン投与iDKOマウスにおいても抗生物質投与により病態が抑制され、Tet欠損によるT細胞活性化/増殖と分化に腸内細菌が関与することが示唆された。 WTおよびDKOマウスより単離したCD4+ T細胞のシングルセルTCR-seq解析により、DKOマウスではTCRの多様性低下が認められた。さらにDKOマウスでは個体間で共通して高頻度に存在するTCRクロノタイプが検出され、Tet欠損T細胞は同一の抗原を認識してオリゴクローナルに増殖をすることが示唆された。 また、DKOマウスではT細胞がTh17/Tfh細胞様の形質を示すことから、DKOマウスを種々のTh17/Tfh細胞関連遺伝子欠損マウス(Bcl6-flox、cMaf-flox、AhR-flox、IL-21受容体欠損マウス)と交配した。いずれもT細胞異常増殖/活性化やTh17/Tfh様細胞分化の抑制と寿命の延伸が認められ、DKOマウスの病態発症にこれらの遺伝子の関与が示唆された。さらに、DKOマウスに抗生物質投与下でAhRアゴニストI3Cを投与したところ、抗生物質単独では抑制される病態がI3C投与により悪化したことから、DKOマウスではAhRを介した腸内細菌によるシグナルが病態発症に重要であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していたiDKOマウスのin vivoでの解析と各種Th17/Tfh細胞関連遺伝子欠損マウスと交配させたDKOマウスの解析をほぼ終えることができた。また、DKOマウスより単離したCD4+ T 細胞を用いてシングルセル解析を行い、TCR-seqについては解析が終了した。RNA-seqについては現在解析を進めている段階である。 よって、概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は作製したiDKOマウスがin vivoにおいてタモキシフェン投与によりDKOマウスと同様のフェノタイプを示すことを明らかとした。早期に発症するDKOマウスではin vitroの実験系が困難であるため、今後はiDKOマウスを用いてin vitroの実験系の確立を目指す。 また、今年度行ったDKOマウスより単離したCD4+ T細胞のシングルセルRNA-seqについて、解析を進める。 さらに、腸内細菌とホストの免疫系をつなぐ因子としてAhRの関与が示唆された。今後はTet欠損T細胞におけるAhRの役割を、マウス腸内のメタボローム解析やAhRアゴニスト投与等を行うことでさらに詳細に解析を行う予定である。
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