2022 Fiscal Year Research-status Report
The effects of oxidative stress on NK cells in vivo
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20K07543
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
大谷 真志 東邦大学, 理学部, 准教授 (20383713)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | NK細胞 / 酸化ストレス / xCT / 敗血症 |
Outline of Annual Research Achievements |
体内で活性酸素種(ROS)が産生・蓄積すると、酸化ストレス状態となり、細胞や組織の損傷、炎症の慢性化といった害を及ぼすことから、体内には抗酸化機構が備わっている。その一つのシスチン/グルタミン酸トランスポーター(system xc-)が機能しないマウス(xCT KO)は、酸化ストレスに感受性が高いものの、リポ多糖(LPS)投与による敗血症性ショックに抵抗性を示した。xCT KOマウスでは、成熟したナチュラルキラー(NK)細胞数の減少と炎症性サイトカインの産生能の低下が観察されたことから、酸化ストレスが炎症反応に対して抑制的に働くこと可能性が考えられた。そこで、本研究では、xCT KOマウスにおけるNK細胞の機能不全と敗血症性ショックへの耐性の原因を明らかにすることを目的とした。 xCT KOマウス由来の細胞を用いたin vitro解析から、NK細胞におけるサイトカイン産生やROSに対する細胞の生存には、system xc-が関与しない可能性が示唆された。また、脾臓細胞をLPSで刺激した際の、ROSの産生量やNK細胞の生存率は、xCT KOマウスと野生型マウスで違いは認められなかった。よって、敗血症を起こしたxCT KOマウスにおけるNK細胞数の低下とサイトカイン産生能の低下は、NK細胞自身ではなく、体内環境の違いが原因で生じた可能性が考えられた。そこで、LPS投与後の野生型とxCT KOマウスの脾臓における酸化ストレス状態を、GSH量を指標にして経時的に測定した。その結果、LPS投与後8~12時間で酸化ストレス状態の亢進がみられたが、両マウスで程度の違いはみられなかった。以上のことから、敗血症下でのxCT KOマウスにおける脾臓NK細胞の機能低下は、細胞自身や脾臓内の酸化ストレス状態に依存しないメカニズムで起こっている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
計画していた実験の結果がことごとく予想と異なり、その都度、新たな実験の準備・実施に時間がかかってしまったため。また、所属機関における動物飼育施設の改修に伴い、使用予定だった動物の供給が不十分だったため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の想定を超える予期せぬ結果となったため、バイオインフォマティクスを用いて異なる視点からのアプローチにより研究目的の達成を目指す。そのため、研究代表者が所属する学科にいる専門家の助けを借りる。また、実験従事者の数を増やすことも予定している。
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Causes of Carryover |
予想できない実験結果により計画の進捗が遅れたことや、急に動物飼育施設の改修が行われて予定していた動物実験が進められなかったため。 動物実験とバイオインフォマティクスに関連した実験に使用する。
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