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2020 Fiscal Year Research-status Report

TNF受容体型補助刺激分子による自然リンパ球の制御機構

Research Project

Project/Area Number 20K07546
Research InstitutionTohoku University

Principal Investigator

奥山 祐子  東北大学, 医学系研究科, 助教 (50624475)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 河部 剛史  東北大学, 医学系研究科, 准教授 (50834652)
Project Period (FY) 2020-04-01 – 2023-03-31
Keywordsアレルギー疾患 / 自然リンパ球 / ILC2 / TNF受容体型T細胞補助刺激分子 / GITR
Outline of Annual Research Achievements

自然リンパ球(ILC)は、自然免疫系を担う新たなリンパ球系細胞として発見され、炎症反応を制御し生体恒常性維持と生体防御に重要な細胞として注目されている。ILCは、1~3型に分類され、なかでも2型自然リンパ球(ILC2)は、Th2サイトカインの産生を介してアレルギー性呼吸器炎症、寄生虫感染防御、アトピー性皮膚炎等の病態形成に関与する。ILC2は、気管支粘膜、皮膚などの上皮下に局在し、アレルギー物質に迅速に応答して炎症性サイトカインを大量に産生しアレルギー反応を惹起する。すなわち、ILC2はアレルギー反応のトリガー細胞であり、アレルギーの機序を解明する上で注目されている。
当研究室では以前より、TNF受容体型のT細胞補助刺激分子(OX40、GITR、CD27など)に着目し、さまざまな炎症疾患における免疫細胞機能制御について研究を進めてきた。補助刺激分子はT細胞に特異的に発現すると考えられていたが、我々は補助刺激分子の一つであるGITR (Glucocorticoid induced tumor necrosis factor receptor)がILC2に強く発現することを見いだした。そして、GITRシグナルが肺組織ILC2の増殖と活性化を促進し、アレルギー性肺炎症疾患の発症に寄与することを明らかにした。さらに、GITRリガンド(GITR-L)発現細胞の探索を進めたところ、炎症時ILC2自身にリガンドの発現が誘導されることを見出した。ILC2細胞上のGITR-LはILC2同士の相互作用による制御、およびT細胞に発現するGITRを介したT細胞の機能制御にも関与すると考えられる。そこで本研究は、ILCにおけるGITR補助刺激シグナルを介したアレルギー性炎症疾患の制御機構を明らかにすることを目的とする。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

アレルギー発症時、ILC2上のGITRシグナルを活性化するGITR-L(リガンド)の供給源となる細胞の探索を進めたところ、ILC2自身にGITR-Lが誘導されることを確認した。これまでにin vitro ILC2を用い、IL-33刺激依存的なGITR-LのmRNA発現誘導が認められ、特に刺激後24時間以内の早期の発現上昇が確認された。そこで、実際にアレルギー反応が惹起される肺や皮膚で、ILC2にGITR-L発現が誘導され GITRシグナルが供与されるかを、パパイン誘導性マウスアレルギー肺炎症モデル用い検証を行った。パパインを3日間鼻腔内投与し1日後に肺組織よりILC2を精製しリアルタイムPCR法によりGITR-LのmRNA発現量を解析した。その結果、パパイン投与群の肺ILC2で非投与群と比較して有意なGITR-L発現上昇が確認された。
そこで、次にGITR-Lが実際にマウスのアレルギー性肺炎症病態形成に寄与するかを検証した。GITR-L欠損マウスにパパインを3日間鼻腔内投与し1日後に肺胞洗浄液および肺組織を採取しフローサイトメトリー法により解析を行なった。その結果、GITR-L欠損マウスにおいて肺組織中の好酸球数、 ILC2数、IL-5,IL-13サイトカイン産生がいずれも野生型マウスと比較して有意に減弱した。このことからGITR/GITR-Lシグナルがマウスアレルギー性肺炎症の増悪に寄与することが示唆された。

Strategy for Future Research Activity

これまでに、マウスILC2においてIL-33刺激依存的にGITR-Lの発現が誘導されることが確認された。さらに、実際に生体内におけるGITR-Lの発現がパパイン誘導性マウス肺炎症の発症に寄与することが証明された。
そこで、今後さらにILC2におけるGITRおよびGITR-Lの発現の重要性について、in vitroおよびin vivoの実験によって検証を進めていく。
まず、ILC2に発現するGITR-Lが、GITRを発現するILC2およびT細胞の機能制御に関わる可能性について検証する。肺組織ILC2をin vitroにてIL-33で刺激しGITR-L発現を誘導し、抗GITR抗体添加によりGITRシグナルを阻害し、ILC2の細胞増殖、IL-5、IL-13サイトカイン産生をフローサイトメトリー法により解析する。ILC2同士のオートクラインなGITR-Lシグナルの重要性を明らかにする。また、肺組織ILC2をIL-33で刺激しGITR-L発現を誘導し、naive CD4+ T細胞と共培養し、T細胞の細胞増殖能、各ヘルパーサブセットの分化率、機能がGITR-Lにより変化するか検証するGITR-L阻害抗体添加により、このT細胞への作用が阻害されるかを検証する。
次に、ヒトILC2においてもGITR/GITR-L発現とその機能について検証を行う。ヒト末梢血よりPBMCを精製し、ILC1,2,3特異的な表面マーカーによる染色を行い、フローサイトメトリー法にて健常人定常状態でのGITR,GITR-Lの発現を検出する。さらにサイトカイン刺激によるGITR,GITR-Lの発現変化についても検討を進める。
以上より、TNF受容体型補助刺激分子によるILC2の新規機能制御機構と、アレルギー疾患発症機序を明らかにする。

  • Research Products

    (1 results)

All 2020

All Journal Article (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Peer Reviewed: 1 results)

  • [Journal Article] GITR controls intestinal inflammation by suppressing IL-15-dependent NK cell activity.2020

    • Author(s)
      Sakurai T, Okuyama Y, Kobayashi S, Phung HT, Asao A, Kawabe T, Ndhlovu LC, Riccardi C, Kudo H, Wada M, Nio M, So T, Ishii N.
    • Journal Title

      FASEB J.

      Volume: 34(11) Pages: 14820-14831

    • DOI

      10.1096/fj.202001675R

    • Peer Reviewed / Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2021-12-27  

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